拘束牢のラミア  今から半年ほど前のこと。  大蔵卿の館から、家宝の真紅のルビーが盗み出されるという事件があった。  以来、この王都で女怪盗ラミアの名を知らぬ者はない。  迅速にして鮮やかな手口。  大富豪のみを狙う庶民的愉快さ。  そして、現場にメッセージなどを残しながらも、女であるという以外は、すべてが謎に 包まれた神秘性。  何事につけてもセンセーショナルな新聞屋が、『美女怪盗』だの『盗賊の女王』だのと いった称号を奉るのに、さほどの時間はかからなかった。  そもそも、これまでにラミアが一度も失敗したことのない最大の理由は、充分な下調べ をし、計画を練り込み、そのうえで『必要以上の無理はしない』というルールを、忠実に 守ってきたおかげだ。  そこには、失敗はないはずだった。  だが、ラミアは今、囚われの身となっていた。  不覚にも罠にかかってしまったのである。  その夜、ラミアが忍び込んだのは、アルテアという中流貴族の住んでいる、王都の南の 森の外れに建つ小さな館だった。  見張りも少ない、なんということのない館。  今までの獲物と比べても、もっとも簡単な部類に属するだろう。  しかし、そこには、まるでラミアが来ることを知っていたかのような、きわめて効果的 な罠が仕掛けられていた。  目的の彫像に手をかけた瞬間、台座から眠り粉が勢いよく噴き出して、アッと思う間も なく、ラミアは深い眠りに落ちてしまったのである。             *           *  気がついた時には、ラミアは全裸で、斜めの台に磔にされていた。  両手と両足は限界まで上下に引っ張られ、手首と肘と二の腕、足首と膝と腿、さらに首 とお腹にも皮のベルトがしっかりと取り付けられて、身動きも出来ないほど、きつく締め あげられていた。  さらに、口には猿轡。目には目隠し。  唯一、自由になるのは、耳で聞くことだけだった。 「う…うぅ………」  ラミアは呻き声をあげた。  長い時間、動かすことが出来なかったために、全身の血行が鈍って筋肉も硬直し、疲労 の極に達しつつあった。  ──どうして……どうして誰も来ないの?  ラミアは、ぼんやりと考えた。  目が覚めてから、もう数時間は経つだろう。  その間、誰もここへ来ないのだ。  判事に引き渡されようが拷問にかけられようが、この状態から解放されるのなら、もう なんでも構わない。  そんな気持ちにすら、ラミアはなりかけていた。  あるいは、これ自体が拷問なのか…。 「…んっ…うっ……ぐぅっ…」  耐え難い悪寒と息苦しさに、陶磁器のように白い肌を冷え切った汗でベットリと濡らし ながら、ラミアは懸命にもがこうとした。  その時だった。  突然、ドアの開く音が聞こえた。 「う…?」  ラミアは反射的に、音のしたほうに顔を向けようとしたが、首にベルトを巻かれている ため、ほとんど動かすことは出来なかった。  それでも、何者かが部屋に入ってきた気配は、感じ取ることが出来た。 「どう、気分はいかが? 女怪盗さん」  女の声がした。 「ううっ!? むっ、むぅーっ」 「私はこの館の主人、アルテアよ。直接、お目にかかるのは初めて…と言っても、見えや しないわね。ふふっ」  アルテアは小さく笑うと、言葉をつづけた。 「でも、私の顔は知っているでしょう。この前、行商人に化けて来た時に、遠くから見て いるはずですもの」 「…っ!!」  ラミアはショックを受けた。  下見に来た時から、自分の正体を知られていたというのだろうか。 「そうよ。最初からあなたを捕らえるつもりで、罠を仕掛けておいたのよ」 「むぅっ、むぅぅーっ!」 「でも、安心しなさい。判事には渡さないわ。私の目的は、あなた自身なんだもの」 「ううっ…?」 「あなたを調教して、私の下僕として働かせてあげるわ」  笑いながら、アルテアはそう言った。 「うっ、うううっ!! うーっ!」  ラミアは思わず怒りの声をあげた。  冗談じゃない!  誰の命令も受けず、つねに自分の意志で行動することが、ラミアの生き方なのだ。  他人の手下になって働くなど、まっぴらごめんだ。 「ううっ、むーっ!」 「あなたには、選択の自由なんてないのよ」  アルテアは冷ややかに言うと、ラミアの左右の乳首を力いっぱいつねり上げた。 「ぐむぅっ!!」 「ふふ…。これから時間をかけて、あなたを、じっくりと調教してあげるわ」  アルテアはそう言いながら、ラミアの胸を撫でまわしはじめた。  冷たい汗に濡れた肌に指を滑らせ、小ぶりだが形の整った乳房を両手で包み込むように してゆっくりと揉みしだき、乳首を指先で摘んでクリクリと転がす。 「うっ、くっ、うーっ!」  猿轡の下から、ラミアはくぐもった声を洩らした。  力の限りに胴体を揺さぶって、アルテアの手から逃れようとするが、ガッチリと拘束さ れた体は、わずかにもがくのが精いっぱいだった。 「うっ……む…うぐぅぅっ…」 「苦しいでしょう? ふふふ、ふふふふふっ」  アルテアの冷たい笑いが響く。 「動けないというだけなのに、体は疲れ果てて気力も萎えてくる…。動けないということ がこんなに苦しいなんて、想像もしなかったでしょう?」  言いながらアルテアは、ラミアの乳房を弄ぶ。 「ううっ…んっ……むぐーーっ!」 「泥棒のくせに、きれいな肌をしているわね」 「ぐっ、うっ、うーっ」  乳首を襲う微妙な感触に、ラミアは全身を総毛立たせた。  目隠しをされているために何をされるか分からないという恐怖が強く、さらに、神経を 肌の表面に集中させているせいで、余計にアルテアの指を感じてしまうのだ。 「……くぅ…ん…む……ぐ…ふぅっ………」 「あら。感じてきたようね。乳首が尖ってきたわよ」 「くぅーっ! うっ…うふぅぅ〜っ!」  敏感な乳首をくすぐられ、ラミアは思わず、快感の呻きを洩らした。  巧みに蠢くアルテアの指のあいだでラミアの乳首はコリコリと固くしこり、はしたない ほどに、はっきりと頭をもたげていた。  身動きもままならない状態で、ラミアは猿轡の下から熱い吐息を洩らし、無意識に腰を 浮かせようとする。 「く…くう……ふう……」 「自分の立場が分かってきたうようね。」  満足げに言うと、アルテアはラミアの体から離れた。  が、それも束の間。  今度は、冷たい液体が肌にトロリと流れた。 「…うふぅっ!?」 「これは私が調合した特製の媚薬よ。体中が疼いてくるけど、動けないのではどうしよう もないわね。ふふふ…」  そう言いながら、アルテアは手を動かし、ラミアの全身に媚薬を塗りたくる。 「ううっ! むっ! んうぅーっ!」 「じきに効いてくるわよ。ふふ」  ほどなくして、ラミアの全身が猛烈に疼きはじめた。  妖しいまでの快感が体の奥からじわじわとわき起こり、体中の毛穴という毛穴から大粒 のアブラ汗がドッと噴き出してくる。 「んっ……う…うふぅっ……。ぐふっ…ぐぅぅ……」 「たまらないでしょう。だけど、しばらくはそのままでいなさい。気が狂う前には、また 来てあげるから。ふふ…ほほほほほっ」 「むぅ…んっ……うっ…うんっ………くぅ!」  遠ざかっていく足音を聞きながら、ラミアはもがいた。  ──だ…誰か……助けてっ…。  抑えられない疼きで、頭が変になりそうだった。  動けないだけに、余計にたまらないのだ。 「…うっ……ううっ…。ん……ふ…ふぅ〜っ……く…うぐ…ん……」  締めつけられた柔らかな肢体を小刻みに震わせ、熱い汗をとめどなく流しながらラミア は悶えつづける。             *           * 「気分はどうかしら?」  不意にアルテアの声がして、目の前が明るくなった。 「……う…んっ………う…」  朦朧としたラミアの瞳に、黒い皮の衣装に身を包んだ女の姿が映った。 「あらためて挨拶させてもらうわ。私が今日からあなたの主人になるアルテアよ」 「…う……むぅ……」 「さすがに、かなり効いてるようね。ふふふふふっ…」  アルテアの手がスゥッとラミアの胸に伸び、乳首をキュッと摘み上げた。 「むうぅっ!!」 「ふっふふふっ。これだけでも感じてしまうでしょう?」  アルテアは薄笑いをしながら、固く尖りきった乳首をクリクリと転がしたり、ツンツン と引っ張ったりして弄ぶ。 「うっ、ううっ…ぐっ……。んんーっ!」  苦しげに呻き、震えるラミア。 「このまま、まずは胸だけでイカせてあげようかしらね」 「むふうっ…むっ……んうっ」  ラミアの苦悶を楽しむように、アルテアはさらに荒っぽく胸を責めたてる。  汗に濡れた乳首を、気を失いそうなほど思いきりつねり上げたり、形がひしゃげて乳房 にめり込むまで強く押しつぶしたり、そうかと思うと、今度は固くなった乳頭を指の腹で 微細にくすぐったりして刺激する。 「うぐぅっ!! ぐふっ…ぐっ……むんんっ! むっ、むぐううーっ!!」  猿ぐつわの下で声にならぬ悲鳴をあげ、ラミアは身悶えする。  ──お願い! やめてえっっ!  乳首をいじられるだけで、信じられないほどの快感が全身に走り、エクスタシーに達し そうになるのだ。 「んんぐうぅぅーっ! ぐっ…ぐふっ………うむっ…ぐ…」 「いつまで我慢する気かしら? もうこんなになってるのに…。ほら!」 「むぐうぅうーーっ!!」  ぷっくりと膨れ上がった乳首を一気にしごかれ、ラミアは思わず、拘束された体を限界 まで大きくのけ反らせた。  今にも頭が爆発してしまいそうだった。 「ふっ、ふぐっ。ぐう…う…」 「そろそろイッてしまいなさい。こうしてあげるわ」  そう言うと、アルテアは口を開き、ラミアの乳首にガチッと食いついた。 「ぐむぅっっ!」 「ふふ…ふふふふふ…」  アルテアは残忍な含み笑いをしながら、片方の乳首に歯をたてて根本から頂点まで乱暴 にガリガリと噛み、同時に、もう片方の乳首を指の先で荒っぽく小突きまわして、徹底的 にいたぶりつづける。 「うぐぐぅーっ!! ぐぅっ、ぐうっ、ぐむーーっっっ!!」 「今度は、こっち側をいじめてあげるわ。ふふっ」 「んぐっ……ぐうぅっ…!」  泣きながら、懸命にもがくラミア。  だが、苦痛をはるかに上まわる強烈な快感は、ラミアの神経を根底から揺さぶり、急速 に絶頂へ追い込もうとしていた。 「んふっ………むっ…んっ……ぐ…ぐぅっ……うううーっ…!」  全身をヒクヒクと痙攣させ、ラミアは意識を失った。             *           * 「いつまで寝ているつもりかしら? さあ、起きなさい!」 「…う……うう…」  ようやく磔から解放されたラミアだったが、今度は両手を後ろ手に拘束され、床の上に 転がされていた。  相変わらす、猿ぐつわは咬まされたままである。 「むぐ…ぐ…」 「あの程度で終わったなんて思わないでちょうだい。本番はこれからよ」  ゆっくりと立ち上がるアルテア。  その股間には、黒光りする淫具がベルトで装着されていた。 「どう? 今度はこれで、お尻を犯してあげるわ」 「ううっ!?」 「そうよ。あなたのその可愛いお尻の穴よ…」 「うっ…うっ……ううーっ!」  ラミアは恐怖に顔色を変え、床を這いずって逃げようとする。  が、すぐにアルテアの手に捕らえられてしまった。 「むうーっ! うっ、うーっ!」 「まだまだ体の疼きは治まっていないでしょう。ふふふっ」  アルテアはラミアの腰を押さえつけると、お尻の割れ目に淫具をあてがった。 「うううっ!」 「ほ〜ら、もう覚悟しなさい!」  その言葉と同時に、硬い淫具が後ろの肉穴に侵入を開始した。 「ぐっ……!!」  激痛がラミアの全身を襲い、一瞬、呼吸も出来なくなる。  ラミアは額に大粒の汗を浮かべて顔を歪め、スローモーションのようにゆっくりと身を よじらせた。  ──い…痛い! いやあっ!  あまりの苦しさに涙があふれ、目の前も見えない。 「……んっ…う………ぐぅぅっ…」 「ふふふふふ。気を失うまで犯してあげるわ。ほほほほほほほっ!」  高笑いをしながら、アルテアは腰を動かしはじめた。 「ううぐぅ〜っ!!」  アルテアが突き上げるたびに、ラミアの口からはくぐもった悲鳴が洩れ、苦しげに首が 左右に振られる。  しかし、そんなことはおかまいなしに、アルテアは腰を大きく動かしつづけた。 「ぐ…ぶっ……。ぐっ…。うぐーっ!」 「ほほほっ。思いきりかきまわしてあげようかしら?」 「…んぐっ………ううう……むっ…むふっ………むぐぅぅうっ…」 「あなたが奴隷だってこと、今日から存分に教えてあげるわ」  アルテアは後ろから手をまわしてラミアの乳房を揉みしだきながら、さらに激しく腰を 動かして狭い肉穴を無理矢理に割り裂き、奥の奥にまで達しそうなほど深々と淫具を打ち 込んで、容赦なく肉体を責めたてる。 「ふっ…ふぐぅぅっ!」  息も絶え絶えに、身を悶えさせるラミア。  汗まみれの体は精根尽き果て、アルテアのなすがままだった。  ──も…もう……し…死んじゃう……。  もはや、思考も停止しかかっていた。 「ふふ。そろそろ失神しそうね」 「……むぅ…ぐ…ふ………」 「いいわ。それじゃあ、トドメを刺してあげる」  そう言うと、アルテアは今まで以上に、思いきり腰を突き上げた。 「うぐぅーーーーーっっ!!!」  断末魔に近い叫びとともに、ラミアは大きく目を見開いた。  が、次の瞬間には、頭の中は雪が降り積もるように真っ白になっていき、そのまま静か に目を閉じて体を崩していった。  それが、怪盗ラミアの終焉だった──。                                     END