『TWINKLE☆STAR PATROL ACT2』  UDS−X−BD2015は、銀河辺境にある未開発の恒星系だ。  この星系の外郭宙域にドライブアウトした<グライフ3>は、星系の中ほどの小惑星帯 へと向かっていた。 「噴射停止。ミック、通常反応炉はアイドリングさせといて」 「りょーかいホイホイ…っと」  アーヤの指示を受けて、ミックはコンソールを手早く操作する。  噴射を停止したグライフ3は、慣性飛行で小惑星帯の中を飛んでいく。  最初の小惑星の角を右折して、さらに5000万kmほど進んだその先にある3つめの 小惑星。  平均直径約9kmのこの岩塊が、今回の目的地だ。 「あそこの内部に、密輸業者の取り引き倉庫があるのよ」  アーヤはモニターを見ながら、ミックたちに任務の説明をする。 「で、どーすんの?」 「こっちも密輸業者に化けて、あそこに侵入して……一網打尽よ!」  話しながらアーヤは、逮捕した業者から聞きだしたパスワードを、小惑星にむけて送信 しつづける。  このテの任務は、グライフ3の得意とするところだ。  何しろ、元が民間の小型貨客船(しかもボロ船!)だから、外見的に零細の密輸業者に 化けやすいのである。  やがて──。  ゴゴ…ゴゴゴゴ……。という音は聴こえなかったが、小惑星の表面の一部がパックリと 開いて、内部への侵入路ができた。 「行くわよ」  アーヤは、たくみに噴射と制動をくり返して、グライフ3を、ゆっくりと侵入コースに のせていく。  コンピュータの助けを借りているとは言え、噴射出力や侵入角度を間違えたら、小惑星 に衝突しかねない。  慎重を要する作業なのだ。  第1ゲートをくぐり、500mばかり進むと、光学洗浄区画がある。  船体に付着しているかもしれない細菌や放射線を、ここで洗い落とすのだ。  青い洗浄光に照らされた、この区画を通りすぎると、次はいよいよ、密輸業者の倉庫が あるブロックに入る。 「いい。無闇に暴れちゃダメよ」  アーヤは、ミックとシャリィ──特にミック──に注意する。 「まっかせてっ!」  ミックは、力コブを作ってみせた。  しかし、 「………………………………」  やっぱり、なんとな〜く不安なアーヤであった。             *           *  アーヤの不安は的中した。不幸にも。 「……メチャクチャね…………」  ガレキの山と化した管制室を見まわしながら、アーヤはため息をついた。  ミックの『大活躍』によって密輸業者は逮捕したものの、倉庫の中央管制室も完膚なき までに破壊されてしまったのである。  コンピュータは完全に機能停止。  主電源回路も破壊されて、かろうじて非常用電源で灯りがついている状態だ。  生命維持システムと人工重力システムが動いているのは、奇跡に近い。 「や…やりすぎちゃった…かな?」  引きつった笑いを浮かべつつ、ミックは、ポリポリポリ、と頭をかいた。 「ええ。ちょっと…ね」  もう一度、ため息をつくと、アーヤはポケコンを取りだした。 「さあ、それじゃ一緒にきてちょうだい」 「へっ? どこ行くの?」 「決まってるでしょ。倉庫の中味を調べに行くのよ」 「えええーーーーーっっ!?」  ミックは、思いっきり、ロコツにイヤな顔をしてみせた。 「倉庫を調べるって、いったい、いくつあると思ってんのよォ?」 「アンタが、管理コンピュータを壊しちゃったんだから、しょうがないでしょう」 「あう。だ…だってぇぇ〜。(ひ〜ん)」             *           *  28番目の倉庫は、まるで、科学実験室のような構造になっていた。 「ねぇねぇ。アレ、なにかなぁ?」  感応・感知能力を持つシャリィは、どうやら何かを感じたらしく、部屋の隅にトコトコ トコ…と歩いていく。 「どしたの? シャリィ?」 「ちょっと、無闇にそこらの物を触ったりしちゃダメよ」  ミックとアーヤも後を追う。  部屋の隅には、半透明のカプセルが置かれていた。  中味は液体のようだ。 「もしもぉ〜し、入ってますかぁ?」  カプセルをノックするシャリィ。いきなりの大ボケであった。 「返事なんかしないって」  ミックは思わずツッコミをいれた。  が、突然──。  ガタガタガタ……。とカプセルのフタが揺れはじめた。 「なっ、なっ、なになにっ!?」 「やァん。わたしが叩いたからぁ?」 「違うわね」  低い声でアーヤが言った。  アーヤがこんな声を出す時は、良くないことの起こる前兆だ。 「今まで、冷凍されてたのが、溶けはじめてるのよ」  静かに言いながら、アーヤは真っ赤な警告灯が点滅している、カプセルの温度計パネル をさし示した。 「どっ、どうしてっ!?」 「誰かが、管理コンピュータを壊したからじゃない?」 「ううっ…」  ミックは床にブッつぶれた。  で──。  そんなバカをやっているうちに、とうとう、カプセルのフタが開いてしまった。 「ゲゲーッ!! 何よこれーーっっ!?」 「やんやん、ぐちょぐちょぉ〜!」  ミックとシャリィは、思わず声をあげてしまう。  カプセルの中から出てきたのは、半透明の、アメーバ状の物体だった。  はっきり言って、気色が悪い。 「……こ…これはっ…………」  アーヤは記憶の糸をたぐりよせた。 「半年前にセラスの生物研究所から盗まれた、実験原生細胞融合体よ」 「わーーっ! 襲ってきたァッ!」 「あそこが弱点よ!」  アーヤは、腰のホルスターから銃を抜きとると、融合体の中で脈打つ、真っ赤な球体を 指さした。 「そっか! よぉっし!」  ミックとシャリィも銃を抜いて、三人でバシバシ撃ちまくる。  だが、 「やァん。効かないよ〜」  シャリィが泣き声をあげた。  ミックたちのレイガンでは、融合体には、まったく効きめがないのだ。 「クッ……。そうだ!」  アーヤが、ポン☆、と手を打った。 「たしか、5番目の倉庫に大口径の高圧ビームライフルがあったわね」 「えっ? そうだっけ?」 「あったのよ! あいつを取ってくるから、それまで頼んだわよ、ミック!」  叫びながらアーヤは、アッと言う間に飛びだしていってしまった。 「ちょ、ちょっと待って! 頼むって言われても──」 「助けてぇ、ミックぅぅ!」 「シャ、シャリィっ!?」  ミックがふり返ると、融合体がウネウネとシャリィに襲いかかっていた。 「クッソォーーッ! シャリィから離れろォーーっっ!!」  ミックは超細胞を活性化させて、融合体に殴りかかった。  持続性はないが、常人をはるかに越える怪力パワーを出すことができる、ミックの必殺 の特殊能力である。  管制室を破壊したのも、このパワーのたまものだった。  しかし、相手はトコロテン大王だ。 「わあああああっ!? なっ…なによこれーっ!!」  いくら殴っても、吸収されてしまうばかりで、どうしようもない。  ついには、ミック自身もグネグネに腕を取られ、さらには、服の内側にまでもズルズル と侵入されてしまう。 「わーーっっ! や…やめろォッ!」  ミックは必死に暴れるが、上着も下着も、ビリビリとひき裂かれていく。  どうやら融合体は、ミックの超細胞を気にいったらしい。  迷惑な話である。 「放せぇぇぇ〜〜〜っ!」  なんとか抜けだそうと、ミックは懸命にもがいた。  が、そのとたん、 「ギャン☆」  電気のような衝撃を受けて、ズルズルと体の力が抜けてしまった。 「……あう………か…体が…………」  ぐったりとなったミックの上に、融合体が覆いかぶさってきた。 「やっ…やめ………ああんっ!」  素肌の上を冷たいスライム状の融合体がヌルヌルと動きまわり、電気ショックで敏感に なっている乳首を、キュン、と締めあげる。 「クゥーーッ!!」  目の前が、一瞬、暗くなりそうなほどの快感が走った。 「……や…やだ…………ううっ……」  動く力のないミックの全身を、融合体はゆっくりと包みこんでいく。  ぐちゅ…ぬちゅぬちゅ……。と、いやらしい音をたてながら肌の上を這いずり、まるで 舐めまわすような動きで責めたててくる。 「んっ…ふっ………はあっ…!」  神経を揺さぶる快感から逃れようと、ミックは頭をブルブルと振りまわした。  ──このままじゃ、喰われちゃう!  ミックは必死になって、手足に力をいれようとする。  しかし、女の子の指のような柔らかな動きで体を愛撫されると、思わず、小さなため息 を洩らさずにはいられない。 「…ハッ…ハァッ………んふぅ……」  まるで何十本もの手指に体の隅々まで撫でまわされ、揉みしだかれているようで、とて もたまらない。 「い…いや……ああっ…はひっ! やめてえっ! ひっ、ひあぁーーっ!!」  ミックは悲鳴をあげて、背中を大きくのけ反らせた。  さらに、ジタバタ暴れる太股にも、融合体が絡みついてくる。 「そ……そこはダメぇ…!」  必死に閉じようとする両足をこじ開けて、融合体は股間にもグチュグチュとすべり込ん できた。 「いっ、いやァッ!!」  柔らかな感触がクリトリスをそっと包み、ジワジワと締めあげるように刺激する。 「うあぁっ! ああっ……あふっ…」  もっとも敏感な部分をたくみに愛撫されて、ミックは、快感の波に呑みこまれてしまい そうだった。  紅潮した全身は汗まみれになり、呼吸もどんどん荒くなってくる。 「…アッ…アッ………アアッ……」  ピクッピクッ、と体を震わせ、ミックは悶えつづけた。  融合体は、ミックの胴体をしっかりと捕らえ、震える胸や腰や股間を、ニュルニュルと 這いまわる。 「はあっ! か…体が……もう…どうにか……なっちゃう……!」  ミックはもう、失神寸前だった。  全身をヌルヌルと愛撫され、乳首やクリトリスを電気責めにされて、頭の中が真っ白に なりそうだ。 「……もっ…もう……ダメぇっっ!!」  ミックが失神しかかった、その時。  バシュッ☆  強力なビームが、融合体の赤球をつらぬいた。  たちまちのうちに、融合体はドロドロになって崩れていく。 「………な…なに……?」 「どうやら間に合ったみたいね」  そこには、大型のビームライフルを手にしたアーヤが立っていた。 「……こっ……これのドコが………間に合ったってーのヨォ!」  ヨロヨロと立ちあがりながら、ミックは大声でわめいた。  と、その瞬間──。  ミックの頭に、ある考えが閃いた。 「アーヤ……あんたまさか……」 「なに?」 「あたしたちを、囮にしたんじゃないの?」 「え?(ギクッ)」 「アーヤぁぁぁぁぁぁ…」 「いっ、いいじゃないの。喰われる前に助けたんだから。ネッネッ」  ブリッ子しながらも、ヒヤ汗タラタラで後退していくアーヤ。 「そ、そうだ! ほら、もうすぐ応援が着くから、準備しないと──」 「だァァァーーーーッッ!!」  ミックはバクハツした。 「あんたも犯してやるーーっっ!!!」 「キャーッ! や、やめてーーっ!」  もう大騒ぎである。  その時、今までずっと、気絶していたシャリィが目を覚ました。 「ふに?」  シャリィは数秒のあいだ、倉庫の中で駆けまわっているミックとアーヤをじっ…と見つ めていた。  それから、おもむろに口を開いた。 「………ふたりで遊んでるぅ」  最後まで、大ボケのシャリィであった。                                     END