小耳の宝箱 第24集

  正しい日本語をしゃべらんかい

 新聞、雑誌などによりますと、近頃のデパート、スーパー、レストラン等など、およそ多くの人が集まるところでの店員さん、ウエイトレス、レジの方々の話し言葉が、いささか日本語の語意、文法と相違するという記事がよく出ます。大体は丁寧言葉の誤用か、重ねすぎて意味不明になっています。
 ま、そんなことに目くじら立てなくたっていいじゃないかとも思いますが、昭和一桁族にとっては、かって国語の時間に泣かされたことが、まかり通ってはご先祖様に申し訳ないと、最近の新聞から抜粋してみました。

 いさぎがいい

 「新庄っていさぎがいいね」とか「あの人言い訳ばかりで謝ろうとしない、いさぎがわるいんだから」なんて云われています。プロ野球日本ハムの新庄選手が、惜しまれながらきっぱり引退した話題と、自分の非をなかなか認めず、往生際の悪い相手を非難する言葉です。
 さて、この場合、中心となる「いさぎ」の使い方ですが、本来は「いさ・きよし(勇・清し)」が変化したものとされています。「たいそう清らかである」と言う言葉が変化したもので、「いさぎよし」から「いさぎよい」と変わったもので、「いさぎ」と言う言葉があるわけではありません。
 だから、「いさぎがいい」とか「いさぎが悪い」という使い方は無いのです。

 何気に

 「何気に云ったのに相手の人を怒らせてしまった」「何気に窓の外を見ています」。最初の言い分は、自分では特別な意味は無いのだが、なぜか相手の人を怒らせてしまった。ということであり、二番目はなんとなくぽかんと窓の外を見ていますと言ったような場面です。
 さて、ここの問題は「何気に」の部分です。さあ正しい使い方でしょうか。「何気」に「に」をつけて、副詞のような使い方をしていますが、「何気」は独立した言葉(名詞)ではありません。「無い」という否定の言葉が付いて、はじめて形容詞としての意味を持ってきます。したがって、「何気なく云ったのに」とか、「何気なく窓の外を」と使うなら、正解です。

 とんでもありません

 さあ、この言葉、よく出てきます。デパートなんかでは更に丁寧に、「とんでもございません」と言う使い方になります。
 旅館の朝、精算を済ませ出発するとき「お世話になりました」と泊り客、「とんでもございません。あまりお構いも出来なくて----」と女将さん。よくあるシーンです。さあ、この使い方のどこが間違っているのでしょうか?
 この会話の変なところは、お客さんの言葉を打ち消して「そんなことはありません」というところを「とんでもございません」と言っていますが、これが間違いです。
 本来「とんでもない」と言うべきところを、より丁寧に言いたくて、「ない」の部分を「ございません」に言い換えたものです。
 「とんでもない」は、道理に外れると言う意味の「途でもない」が変化したもので、これで一語の形容詞です。だから、下の部分を「ありません」とか「ございません」と変化させることはできません。
 以上のように、本来の使い方を誤って使う言葉が増えてきました。なかにはそれが当然の使い方のように思われてきたものもあります。固いことを云うつもりはないけど、どうしたものか。   

おわり