22.インドへの思い

今から25年近く前、私は漢方薬局に勤めていましたが、

思い立って(これは急にではなく、中学生のころからの希望でした。)

インドに行くことを決めました。

私にとっては初めての海外で、勤めを辞めてもいいという覚悟で

薬局の社長に申し出ましたら、快く承諾してくださり、3週間の

休みをいただけることになりました。

一応ツアーのメンバーとして行ったのですが、そのメンバーが

すごいかたたちばかりで、南極まで行ったというかた、世界中

回って最後にインドというかたなど、海外旅行のベテランばかりで

初めてなのは私一人で、最年少でした。

インドに到着し、宿泊先のホテルはクーラーが付いていましたが、

移動のバスにはクーラーがなく、10月という一年中で一番気候の

安定した時期にもかかわらず、日中の暑さは日本の比ではありま

せんでした。

ツアーを続けるうち、過酷な環境のなかで、私たちの食べるカレー

とはほど遠い質素な食事で、自然にさかわらずに生きている、

貧しいインドの人々に接して、私は大きなショックを受けました。

ものごいをする子供たち、やせほそった人々、下調べをしていった

にもかかわらず、現実を目の当たりにして、私はなすすべもなく、

立ちつくすばかりでした。

タージマハールなど、神秘の国というあこがれを持っていた私でし

たが、一部の上流階級の私利私欲のために犠牲になった人々の、

数の膨大さばかりが頭に残り、インドの伝統医学や興味のあった

香辛料に関して、何も触れることができなかった自分をどうするこ

ともできなくて、帰国後しばらくは、虚脱状態でした。

その後遺症からか、観光旅行そのものができない状態をひきずって

いましたが、最近、人々が不平不満を考える余裕すらなかった環境の

なかで、しっかりと根付いていったインドの伝統医学を調べなおして

みたいという意欲が出てきました。その過程の中で、あのやせ細った

人々の心の中を少しでも理解することができたら、と考えています。

23.気のバランス