| 私たちの体の中で、腸の異常が顕著に現れるのが口腔粘膜です。腸の働き が悪くなったり、腸の粘膜に異常が起こったりすると、唾液の分泌が低下し、 口腔が乾燥します。 その機序は、人間の進化の過程をたどると理解することができます。 人間の祖先はホヤといわれています。ホヤは入水口と出水口と呼ばれる穴 があり、入水口から海水を吸い込み、プランクトンをこし取り食べて、出水口 から排泄していくことで、ホヤは生きています。 人間の口はこのホヤの入水口が、腸は出水口が伸びて作られました。そし て、その途中に食物の刺激を和らげるための食道ができ、消化液を分泌す る胃、肝臓、すい臓ができて、消化管が完成したのです。 すなわち、口と腸はもともと一つの組織であったため、腸に異常が起こると 口腔にも異常が起きるのです。反対に考えると、腸の異常は、口の異常に よって導かれているともいえるのです。 消化管の入り口に相当する口腔、および出口に相当する腸は、ともに病気 から体を守る、免疫機能に大きき作用する器官でもあります。 口腔には舌、扁桃という完全な免疫器官が存在します。唾液は口の中をう るおわせ、口腔の免疫機能を保護すると同時に、食べ物を分解する最初の 消化液としての役目も担っています。そのため、唾液が出ないと腸の負担が 増し、その結果、腸の免疫力も低下して、腸をはじめとする全身の健康状態 に悪影響を及ぼすのです。 唾液はよく噛むことで分泌が促されますが、かみ合わせが悪いと、あごもし っかり動かせないため、唾液が十分に出ないことになります。かみ合わせに はクセが出ていることが多いですから、左右両側を使って噛み、食事をする ことが大切です。 加えて、梅干やレモンなど、酸っぱいものを1日数回しゃぶることも、唾液の 分泌を促し、腸の機能を高める方法です。 梅干やレモンを口に入れると唾液が出るのは、体が酸味をイヤなものと感 知し、排泄を促す副交感神経の働きが反射的に高まるためです。 この副交感神経は腸を動かす神経でもあるため、酸っぱいものを口に入れ て副交感神経を刺激すると、唾液の分泌に連動して腸も動き始めます。 便秘体質の方では、酸味のものを上手に利用し、正しい咀嚼習慣を身につ けることで、腸の機能が整って便秘の解消につながります。 「腸は免疫の要です」「腸管と免疫のしくみ」「唾液(主な働き)」 「低下した腸管免疫力を改善する食生活」 などのページも参考になさって ください。 |