高血圧とDASH食

今一般的には血圧は境界域高血圧より以下(140/90mmHg以下)に
保つことが理想と考えられています。そのために多くの人が降圧剤
を服用しています。降圧剤の選択は人によって異なり、時にはある
薬が効かないこともあります。また服薬を止めるとすぐに血圧が元
に戻ります。効き過ぎて低血圧になり生活に支障をきたす場合もあ
り、医師の監視が必要で通院も続けなければなりません。
そこで非薬物的な血圧のコントロールの重要性が強く指摘されてい
るのです。

非薬物的に血圧の上昇を抑える方法としては、肥満を防ぎ、運動を
心がけ、食塩、酒、たばこを控えることなどが奨められています。
しかし何と言っても毎日の食事が大切であるとの観点から大々的に
テストされてきたのがDASHテストです。今までは食事成分のあるも
のだけを単独に調べてきましたが、DASHでは食べ物の組み合わ
せで血圧の上昇を抑える効果を調べている点でユニークな研究と
いえます。今回の研究で用いられた組み合わせ食事が予想外に大
きな、はっきりした効果を示したのでたいへん注目されています。

【DASH食の特徴】

DASHはDietari Approach to Stop Hypertension(血圧にストップを
かける食事の新しい方策)の略ですが、一連の研究では8800人か
ら選ばれた459人のグレード1高血圧の被験者についてハーバード
大、ジョンズホプキンス大、デューク大、ペニントン生物医学研究所
の4ヶ所で次の3種類の食事を8週間与えてその効果が比較検討
されました。

1.対照食アメリカ人多数が食べている普通の食事パターン

2.果物・野菜食穀物、低脂肪乳製品を減らし、野菜、果物を多く
           したもの


3.複合食果物、野菜を強調、低脂肪乳製品、穀類、鶏肉、魚、
       ナッツを加えたもの、脂肪、赤肉、砂糖を減らし、カリ
       ウム、マグネシウム、カルシウム及び食物繊維を多く 
       摂れるようにしたもの


被験者は週5日施設に行って何れか指定の食事をとり、週末は自
由に自宅での食事が許されました。食塩は特に制限されず、尿中
排泄量は大体アメリカ人の平均値と等しいレベルと記載されてい
ます。

結果はたいへん著明で果物・野菜食、複合食群では共に2週間で
著明に収縮期、拡張期血圧共に下がり、その後5週間も低いレベ
ルを維持していました。期間の終わりの週では、複合食群では対
照食群より収縮期血圧は11.4mmHg、拡張期血圧は5.5mmHg下が
り、その食事をとっている間低下した値が維持されています。果物
・野菜食群では複合食群よりやや下がり方が小さいものの良く似
た効果が得られました。

尿検査の成績を見ると、特に大きな差はカリウムの排泄で、果物
・野菜群では対照群の8.8倍、複合食群では10.2倍でした。
野菜、果物が健康に良いこと、特に血圧の正常化に良いとよくい
われていましたが、今回の結果はそれをはっきりと裏付けていま
す。のみならず、低脂肪で良質のタンパク質やナッツ類(マグネシ
ウムやカルシウムを多く含む)が相乗効果を示すことが明らかに
されています。
この研究グループは複合食のパターンがアメリカで普及すると、同
国での心筋梗塞は15%、脳梗塞は30%は着実に減るであろうと
述べています。別の研究で高カリウム食は血管の内皮細胞を正常
に保つのに有効であるとの成績も得られています。

日本人の食パターンは比較的野菜、魚が多く、部分的には今回テ
ストされた複合食に似ていますが、果物、ナッツ、低脂肪乳製品な
どは少ないと思います。このDASH研究の成果を参考にして食を
さらに工夫し、カリウム、マグネシウム、カルシウム、良質のタンパ
ク質をより多くとれるように工夫していくことが望まれます。
薬も重要で必要なものですが、血圧のコントロールには薬だけに
頼らず、日常の生活のあり方がたいへん重要であることをDASH
研究は示していると思います。
                 (参考:TAISHO ROPORT NO.150)

高血圧治療のガイドライン」「生活習慣病(高血圧)」なども参考
になさってください。

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