| 私たちの体には、病気を治す自己防衛システムが備わっています。この自己 防衛システムでは、血液中の白血球が戦闘部隊として働きます。白血球は、 マクロファージ、顆粒球、リンパ球の3種類の細胞で構成されています。そし て、マクロファージと顆粒球は細菌などのサイズの大きな異物を、リンパ球は ウィルスなどのサイズの小さな異物を処理していきます。 このうち、リンパ球はマクロファージからの出動指令を受けて細胞分裂し、数 を増やして異物を攻撃します。その際、一部のリンパ球は攻撃した異物を記 憶し、再び同じ異物が侵入したときには、マクロファージの指令を待たずに細 胞分裂を開始して、病気を早く治します。このリンパ球の働きが、いわゆる免 疫と呼ばれるものです。体内でリンパ球を作ったり、リンパ球が異物の侵入に 備えて待機したりしている場所を免疫組織といい、その主要な免疫組織の一 つが腸管です。 口から腸管に至る消化管は、外界の異物に接しやすい場所なので、小腸を中 心とする腸管の周りは、リンパ球が取り巻いています。 腸管には、病原体となる食べ物の中のウィルスや、消化酵素で分解された異 種たんぱくなどが取り込まれます。腸管は、これらの吸収を阻止するため、生 物が最初に進化させた免疫組織の一つと言えます。 リンパ球は、外から侵入してきたウィルスなどの異物とともに、ガン細胞のよ うな体内で発生した異常な細胞や、老廃物の排除にも働いています。事実、 衛生状態が良くなっている現代人には、体内の異常によって作り出される病 気のほうが圧倒的に多くなっています。ガン細胞を始めとする異常細胞や老 廃物は、加齢とともんじたくさん作られるようになりますが、私たちの体内で は、こうした環境の変化に応じ、免疫システムの新旧交代が起こっています。 出生直後から成人するまでの若年期には、外からの異物の攻撃を得意とす る新しい免疫システムが活発に働きます。しかし、その中で主な働きをする胸 腺は20歳ごろをピークに萎縮しはじめ、変わりに異常細胞や老廃物に対応 する古い免疫システムが、ジワジワと働きを活性化してくるのです。 古い免疫組織は、腸管以外に肝臓、唾液腺や顎下腺などの外分泌腺周囲な どにあります。しかし、病気の発症や治癒に最も大きく影響するのは腸管なの です。腸管の粘膜では、実際にリンパ球も作り出されています。リンパ球に はT細胞とB細胞の二つの大きな系統があり、前者のT細胞が胸腺以外に腸 管粘膜及び肝臓で作られるのです。 さらにT細胞は外界からの異物に対抗するもの、ガン細胞など体の内部で発 生するものなどに分類されます。このうち体内の異常細胞に対抗するT細胞 は腸管に際立って多く、ほかの免疫組織にはほとんど認められません。 若年者でも、腸管免疫が弱いと異種タンパクによる食餌性アレルギーを発生 しやすくなりますが、中高年者になると、健康状態は腸管の免疫力によって 支えられている部分が大きいといえます。 (参考:安心第22巻3号) 「免疫システムの働き」「腸内細菌叢と免疫力」のページなども参考になさって ください。 |