エストロゲンのさまざまな作用

エストロゲンの作用が脳の海馬に影響を与えていることは前項で書きまし
たが、他にもエストロゲンの関与があるものがあります。

エストロゲンと動脈硬化

エストロゲンは抗酸化作用を持っていて、活性酸素の発生を抑制します。
抗酸化作用を持つものには、ビタミンCやEなども知られていますが、エス
トロゲンにも同様の作用があります。
また、エストロゲンには、抗動脈硬化作用もあります。これは、エストロゲ
ンが血管壁に働きかけて血管の弾力性を保つことや、脂質代謝をよくす
ることなどのおかげです。エストロゲンは脂質代謝に作用して、善玉コレ
ステロールと呼ばれるHDLコレステロールを増やし、悪玉コレステロール
ルと呼ばれるLDLコレステロールを減らし、中性脂肪を減らします。
また、LDLコレステロールが酸化されることによってできる酸化LDLコレ
ステロールは強い動脈硬化促進作用があることが知られていますが、エ
ストロゲンの抗酸化作用のおかげでLDLコレステロールの酸化が抑制
されます。
さらに、骨に作用して骨吸収の抑制(骨が壊れるのを防ぐ)、骨形成の促
進を起こし、骨量を維持するのに役立っています。

エストロゲンとダイエット

エストロゲンは食物の摂取を抑制し、体重を減少させる作用も持っていま
す。人間をはじめ、サルやラットなどのように性周期を持つ動物では、エ
ストロゲンの血中濃度が高くなる排卵前の時期には、摂食抑制効果が働
いて小食になります。一方、排卵後の黄体期の時期には、もう一つの女
性ホルモンであるプロゲステロンの濃度が高くなり、比較的たくさん食べ
て体重調節をはかっています。
思春期を過ぎると、女性ではエストロゲンが摂食を抑制して体重が低く抑
えられる一方、男性では男性ホルモンのテストステロンが摂食を促進して
体重を増加させます。つまり生殖年齢にある女性は、天然のダイエット物
質を備え持っているということです。ところが閉経後は、この大切な物質
の働きが減少してしまうため、食欲を抑える働きが鈍くなり、中年太りに
つながるのです・

エストロゲンと男性のアルツハイマー

女性の場合はエストロゲンが海馬の働きに関与していることが研究の結
果わかっていますが、男性の場合はそれほどの関与はないと考えられて
います。男性の場合は、女性のようにある時点で男性ホルモンが急激に
減ることはありませんから、この点では男性は有利といえます。
男性ホルモンの減り方はゆるやかで、女性のエストロゲンが閉経で激減
するのに比べると、その違いは歴然としています。
                     (参考:栄養と料理 第70巻9号)

エストロゲンと脳の海馬」も参考になさってください。

8月の「ひとこと」

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