| 1.肺炎という病気 古代エジプトのミイラに肺炎の痕跡があり、また紀元前4世紀にはヒポ クラテスが肺炎の臨床像を記録していたことが伝えられていますから、 肺炎は昔から胸の重い病気として認識されていたと思われます。 肺炎(pneumonia)は呼吸領域である肺実質(肺胞、肺間質)に起こる 炎症性変化の総称で、一般的には肺の急性感染症とされています。 気道・肺胞などの呼吸器系は常に空気中の微生物の侵入を受けてい ても、気道内の線毛などの排除機能あるいは肺胞マクロファージによ り処理されていますが、微生物の量や強さが大きい場合や宿主の防 御力が低下している場合に微生物が肺胞内で増殖して全身の炎症反 応を起こします。厚生労働省の「患者調査」によれば肺炎の患者数は 呼吸器疾患の第5位(入院患者に限ると第1位)、「人口動態統計」に よれば平成7年以降、死因の第4位となっています。 以上のデータは近年ほとんど変わっていません。 また、高齢者では食べ物を飲み込む嚥下機能がうまく働かず、食べ 物が肺や気管支に入ってしまい、同時に細菌が侵入して誤嚥性肺炎 を誘発することがよくあります。 2.肺炎の種類と診断 肺に病原体が侵入、付着、増殖して炎症をきたすと種々の症状があ らわれます。中でも発熱、咳、白血球増多またはCRP陽性、胸部X線 写真上の浸潤影がそろえば肺炎を疑います。治療のために重要なの は病原体の検出であり、喀痰の性状やグラム染色などから細菌感染 の有無の推測がなされますが、短時間で決定するのは困難です。従 って、empiric therapy(医師の経験や病態から原因菌を推定し、適正 と思われる治療法を選択する)が必要となることも多く、原因菌を推定 するため、種々の分類がなされています。最も広く使われる肺炎の分 類は市中肺炎と院内肺炎に分けるもので、原因菌を大きく推定できる ことと、予後が大きく異なることに基づきます。 A:症状と診断 a全身症状 :発熱、倦怠、食欲不振など b呼吸器症状 :咳、痰、呼吸困難、胸痛など c臨床検査異常:胸部X線異常(浸潤影の出現)、赤沈亢進、白血球 増多、喀痰などからの病原体出現 B:肺炎の分類 ・罹患場所による分類 @市中肺炎(普通に日常生活をしていた人に発症) 1.細菌性肺炎(肺炎球菌、インフルエンザ菌、ブドウ球菌など) 2.非定型肺炎(マイコプラズマ、クラミジア、ウィルスなど) 3.その他(結核性など) A院内肺炎(病院で療養中の患者あるいは重篤な基礎疾患を有する 患者に発症) 1.細菌性肺炎(緑膿菌をはじめとするグラム陰性桿菌、ブドウ球菌 など) 2.真菌性肺炎(アスペルギルス、カンジダ、ムーコルなど) 3.その他(サイトメガロウィルス、カリニ原虫など) ・病原学的所見に基づいた分類 @肺胞性(大葉性)肺炎(肺炎球菌、肺炎桿菌、マイコプラズマ肺炎) A宿主に重きを置いた分類 1.一次性(原発性)肺炎(健康な人に発症するもの) 2.二次性(続発性)肺炎(基礎疾患を有する患者に発症する) ・原因微生物による分類(原因不明が多い) @一般化膿菌によるもの(肺炎球菌、ブドウ球菌、緑膿菌など) A特殊な細菌によるもの(レジオネラ、結核性など) Bマイコプラズマ、クラミジア、リケッチアなどによるもの Cウィルスによるもの(インフルエンザ肺炎、サイトメガロ肺炎) Dその他 原虫などによるもの(カリニ肺炎など9 E原因不明のもの (参考:Phmavision Vol6) 「誤嚥性肺炎」「間質性肺炎」なども参考になさってください。 |