| 【片頭痛の病態】 片頭痛は、慢性・反復性に発症する機能性頭痛の一つで、特徴的な 拍動性頭痛は、階段昇降のような日常的な動作でも増悪します。 頭痛症状に加えて悪心・嘔吐及び光や音に対する過敏などの症状 が随伴することも多く、これらの症状が数時間〜3日間持続します。 片頭痛患者さんの平均的な発作発症回数は月に2回前後であり、 1回の発作では平均9時間以上持続し、74%の患者さんが日常に 支障をきたしています。日本における片頭痛の有病率は、報告によ ると8.4%とされており、男女差では女性が男性の3倍と多く、20歳 代〜40歳代にピークがあり、その後加齢とともに減少するとされて います。患者さんの半数前後に片頭痛の家族歴があるとされ、母 親に片頭痛がある子供の約70%が、父親では子供の約30%が片 頭痛を発症するとされています。 片頭痛の発症機序及び原因は今なお調査研究がなされており、 @血管説、A神経説、B三叉神経血管説の3つの仮説があり、どの の仮説においても頭蓋内の血流変化を認めています。また、生理活 性アミン5-HTは血中では血管収縮作用を有する物質として知られて いますが、片頭痛発作時には5-HTの代謝物である5-hydroxyindole aseticacid(5-HIAA)が患者さんの尿中に減少していることが現象とし て確認されています。 【片頭痛の治療】 片頭痛の治療は、発作を抑える急性期治療と発作発現の予防を目 的とした発作間欠期治療の2つに大別されます。従来までの片頭痛 の急性期治療に用いる経口薬はエルゴタミン製剤のみであり、抗頭 痛効果を持つカフェインとの配合により吸収を改善した経口剤が使 用されています。また、症状により併用薬として片頭痛に対する適 応を持つ治療薬ではない消炎鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症剤、ス テロイド剤、制吐剤、抗精神薬、抗不安薬、睡眠薬等が単剤または 複数組み合わせで永らく用いられています。 しかし、エルゴタミン製剤は未変化体が検出限界以下になっても活 性代謝物による血管収縮作用が持続し、患者毎・発作毎に薬物動 態が大きく異なります。また、長期投与したときに、慢性エルゴタミ ン中毒と呼ばれる血管攣縮による高度の末梢血管狭窄、動脈内膜 炎及び四肢のチアノーゼを発現することや、血管が常に収縮した状 態になり急な投与中止により血管が拡張して激しい頭痛を起こすた め薬剤をやめられない中毒状態(禁断症状)になることも知られて います。さらに、鎮痛・消炎作用がないため、血管拡張期を過ぎて 血管浮腫(無菌性血管炎)期になり持続性頭痛となってからでは効 果が得られません。このため、片頭痛の最初の症候が現れたとき 直ちに投与が必要で、患者さんにとって服用のタイミングが難しい 薬剤であり、その他の鎮痛剤や制吐剤との併用が避けられない薬 剤とされました。その他の頻用されてきた薬剤の副作用として、消 炎鎮痛剤では連用による薬剤誘発性の慢性連日頭痛が、非ステロ イド系抗炎症剤では胃腸障害が知られています。 これらに対して、トリプタン系5-HT1B/1D受容体作動薬(商品名:ゾ ーミック錠)は片頭痛発作が発現した後の投与でも有効であり、高 い有用性が確認されている画期的な片頭痛治療薬として注目を浴 びています。1990年代前半以降、米国や英国をはじめとする欧米 諸国で承認され、日本でも、2001年6月に承認されて、医療従事者 のみならず片頭痛の患者さんの厚い期待が込められています。 (参考:薬壷) 「片頭痛の予防」「片頭痛を予防する食事と誘発する食べ物」 「頭痛に使われる漢方処方」「鎮痛剤で頭痛が悪化」などもなども 参考になさってください。 |