| 太っている人は標準体重の人に比べて生活習慣病など、いろいろ な病気にかかりやすいということは、統計にもはっきりと示されてい ます。最近の医学では、肥満そのものを病気として扱うようになり、 健康保険も適用されるようになりました。 肥満の原因はきわめて特殊な場合、例えば視床下部に腫瘍があっ て食欲が異常に亢進するとか、クッシング症候群、ホルモン系治療 薬の使いすぎなどの場合を除いて、一般には過食が最大の要因で す。その日に摂取したエネルギーがその日のエネルギー消費分よ りも多い場合、残存するカロリーが肥満につながるのです。 現代医学の治療でも、減食療法が基本になりますが、漢方での治 療もこの事情は変わりません。肥満を治すための食事制限には苦 痛が伴い、自然に薬に過大な期待をかけることになりますが、漢方 でも薬だけでは肥満は治せません。 肥満の解消を成功させるには、カロリー制限、毎日の適正な運動、 体重を増やさないの3点を守るという本人の努力がキーポイントに なることを理解していただいた上で、証に応じた処方を用います。 @防風通聖散(ボウフウツウショウサン) 実証タイプ。体力があり、腹部の皮下脂肪が厚く、おへそを中心 にビヤだる状に膨らんだタイプで、便秘気味、イライラ、のぼせ などがある場合に適しています。また、不眠傾向で、肩こり、鼻 づまり、咳がでる、化膿しやすいなどのほか、赤ら顔で頭痛や耳 鳴り、動悸がする場合にも用いて効果があります。 A大柴胡湯(ダイサイコトウ) 実証タイプ。血色がよく、体格のがっしりしたかた太りタイプで、 みぞおちのつかえや胸脇苦満が強く、口の中が粘ついたり苦か ったりして、便秘、肩こりを訴えるような肥満に適しています。 腹直筋が緊張して堅く、お腹が張ったり、みぞおちのあたりが痛 むこともあり、ときには咳の症状がある場合にも用います。 B桃核承気湯(トウカクジョウキトウ) 実証タイプ。体力があり、赤ら顔でのぼせが激しく、便秘しがち なタイプで、女性なら月経異常がある場合の肥満に用います。 腹力が強く、おへその左斜め下1〜2cmのところに強い圧痛が あり、手足の冷えや頭痛、肩こり、耳鳴り耳鳴りなどの症状があ る、動悸がするなどの人もこの処方が適しています。 C防已黄耆湯(ボウイオウギトウ) 中間証・虚証タイプ。色白で締まりがなく水太りしたタイプの肥満 に用います。脈力、腹力ともに弱く、よく汗をかき、その割りには 小水が少なく、疲れやすくて腰から下が重く、ひざの痛みや足の むくみがあるという場合にも効果があります。 「肥満(内臓脂肪型)」 「漢方薬を服用するときには」なども参考になさってください。 |