| 肥満とは、体内の体脂肪が過剰に蓄積した状態であり、原因となる明らか な疾患がない単純性肥満が大半を占めています。肥満の原因は基本的に は、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることによりますが、実際の 肥満の発現には、環境や遺伝的な素因など、多くの要因が関与すること が指摘されています。 肥満発現のメカニズムについては不明な部分が多いのですが、最近では レプチン、アドレナリンβ3受容体などの生体内の因子と肥満の関係が注 目されています。 1.レプチン 中性脂肪を蓄えている白色脂肪細胞から産生されるタンパク質ホルモン です。視床下部への作用による食欲抑制、末梢でのエネルギー消費亢進、 等の作用を有します。また、下垂体前葉に対する作用による生殖能への 影響もあり、思春期の体重増加、月経の開始などにも関与するとされてい ます。肥満者では、肥満細胞の増加からレプチンが増加していることが予 想されますが、その一方で、レプチンやその受容体の異常は肥満の要因 となる可能性が考えられています。 2.アドレナリンβ3受容体 主として白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞に存在し、刺激により、白色脂肪 の分解、褐色脂肪細胞での熱産生が促進されます。β3受容体の異常は、 エネルギー代謝を抑制し、肥満となる可能性が高いことが指摘されてい ます。 3.その他 肥満や摂食障害に関与する因子としては、この他にも、セロトニン、ドパ ミン等の様々な神経伝達物質が知られています。セロトニンについては、 5HT2c受容体への刺激作用により食欲が抑制される事などが指摘され ており、セロトニン受容体刺激作用を持つ薬剤の食欲抑制剤への臨床 応用が検討されています。 ドパミンについては、肥満者では脳内の報酬系に関与することが知られ ており、摂食行動においても、食事のおいしさ、満足感に影響することが 指摘されています。ドパミンの作用の不足は、食事に対する満足感の欠 如につながり、これによって過食から肥満に至る可能性も考えられてい ます。さらに、これらのセロトニン、ドパミンの摂食行動に対する影響は、 抗精神薬のように、ドパミン、セロトニン受容体等に対する遮断作用を持 つ薬剤による肥満、糖尿病などの副作用の要因となる可能性もあり、注 意が必要とされています。 (参考:日本薬剤師会雑誌 第54巻) 「肥満(内臓型肥満)」なども参考になさってください。 |