1999,9月の『ひとこと』

9月25日(土)「新聞の“人生相談”より」

新聞の人生相談に次のような相談が寄せられていました。
この相談者の悩みと同じ様な悩みで悩むかたを多く知っています
ので、相談の内容と、精神科医の答えを載せることにしました。

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「相談者」

夫と子供のいる30歳代の看護婦です。職場でリーダーの役割を
求められて、悩んでいます。
自分の性格を分析すると、責任感が強く、何でも完ぺきにやろう
とするタイプです。周りから強い人間に思われていますが、心の
中では、人に甘えて楽をしたいと考える弱い人間なのです。
荷が重いと上司に相談しましたが、「このままでは人がついてこ
ない。態度に気を付けてリーダーを続けてほしい」と言われ、よけ
いに落ち込みました。

自分の弱さを見せたくなくて精神科の先生などに相談できません。
職場から逃げ出したくなることもあり、取り返しのつかないミスを
起こしそうで不安です。

「回答者」

自分を詳しく観察し、正直に問題を書いていて、悩みが手に取る
ように分かります。適当に(いい加減ではなく)仕事をこなすことが
下手で、上司のアドバイスも受け入れにくいのでしょう。あるいは
だれも自分の悩みをわかってくれないと思っているのではないで
すか。
あなたは少し理想が高いというか、うまくやりたいという意欲が強
すぎるようです。そこを少し加減するためにも、ご主人に「弱さ」を
さらけ出して相談してみられてはいかがでしょう。
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いかがでしょう。お読みになって、ご自分と似た悩みだとお思いの
かたもおられることと思います。
かくいう私にも当てはまることであり、最近は大分ずうずうしくなっ
て、最初から「できない、辛い」と言えるようになりましたが、以前
は自分を追いつめ、それが身体に大きな影響を与えていました。

ガンになりやすい性格とでも言いましょうか、ガンでなくても自律
神経が影響を与える自律神経失調症、多汗症やアレルギー性の
疾患をお持ちのかたには、上記女性のような性格を持つかたが
多いようです。

「弱さ」をさらけ出すことははずかしいことではありません。
完全な人間など存在しませんし、だれでも多かれ少なかれ「弱さ」
を持っているのです。「弱さ」を受け止めてくれる人を見つけるこ
とが、悩みの解決につながり、疾患改善につながることもありま
す。

信頼できる相談相手が見つかったら、思い切って「弱さ」をさらけ
出してみませんか。

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9月18日(土) 「サツマイモ」

秋刀魚以外に秋が旬の食べ物といえば、サツマイモがあります。
女性にサツマイモが嫌いというかたはほとんどないと言っていい
くらい人気のあるサツマイモは、おいしいこともさることながら、た
っぷりの栄養素がつまっています。

発ガン物質を抑え、分解させる働きがあるといわれるビタミンC
は、イモ類の中で一番多く含まれています。しかもサツマイモに
含まれるビタミンCはでんぷんに包まれているため壊れにくく、加
熱しても約90%も残ります。その他にもビタミンB1、ビタミンE、
ベータカロチンが含まれ、セルロースなど豊富な繊維質が腸の
中をきれいにして便秘にも有効な働きをします。

おいしいサツマイモの選び方を以前八百屋さんに聞いたことが
ありますが、中位の長さでふっくらとした形と、毛穴の深くない、細
いより太いほうが、そして濃い紅色で光沢のあるものが良いそう
です。特に農林6号やベニヤマトなど果肉がオレンジ色に近いも
のは、普通のサツマイモの約20倍ものカロチンが含まれている
ということです。

カロチンは油で調理すると効率よく身体に吸収されますので、ぜ
ひお試し下さい。

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9月11日(土)  「秋刀魚(サンマ)」

秋刀魚は「実りの秋」「食欲の秋」を代表する食べ物です。
近年では冷凍品が出回り、1年中手に入るようになりましたが、
やはり旬である秋に獲れたものの味は格別です。

秋刀魚には、話題の栄養素「DHA」が含まれていることでも有
名です。DHAとはドコサヘキサエン酸の略語で、高度不飽和脂
肪酸のことです。体内では脳蛋白質部、網膜、心臓、精子、母
乳などに含まれ、それぞれ重要な役割を持っています。

またDHAは記憶学習能力や脳の発達、老化、視力にも関わる
成分ということで注目を集めています。

秋刀魚にはDHA以外にも豊富な栄養素が含まれています。
特にうれしい成分が血液の凝集を防ぐ効果のあるEPA(エイコ
サペンタエン酸)です。EPAはコレステロールが気になるかたに
は多く摂っていただきたい栄養素です。

最近ではさまざまな成分が健康食品として製品化されており、D
HAやEPAも例外ではありません。でもせっかく体内に摂り入れ
るのならおいしく摂りたいものです。

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9月9日(木)「食物アレルギーに対する漢方処方例」

日本東洋医学会総会レポートに北里東洋医学研究所の報告で、
「食物アレルギーを有する幼児のアトピー性皮膚炎に対する漢
方有効例」という記事が掲載されていましたので、ご報告します。

【症例】
1歳10ヶ月男児
生後4ヶ月より皮疹が出現し、離乳食開始とともに増悪した。
牛乳、卵白、大豆、米、小麦が陽性で、1歳より除去食を開始
した。少し便秘気味であったが、「香蘇散」の内服を開始し、2
週間後より改善し、その後良好な経過をたどった。1年後には
米の摂取が可能となった。
食物アレルギーが原因と思われるアトピー性皮膚炎の小児で、
胃腸が弱く少し虚している感じのする患者に対して「香蘇散」が
有効であった。「香蘇散」は元々は風邪薬であるが、広く食中
毒を治す薬としても使われている。また味覚的にも飲みやすく、
患者が小児であってもドラッグコンプライアンスは良好であった。
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香蘇散(コウソサン)は胃腸虚弱のかたや高齢者の風邪薬に用
いられる他、心気症(抑鬱傾向)、慢性蕁麻疹などに用いられる
漢方薬です。香附子(ハマスゲの塊茎)陳皮(ミカンの皮)、しそ
葉、甘草、生姜が配合されており、味も良いのでお子さんの蕁麻
疹にも用いられます。

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9月2日(木)「科学技術は人間を幸福にしたかという記事」

8月26日の読売新聞に公開座談会の記事が掲載されていま
した。「科学技術は人間を幸福にしたか」という題目での座談
会をまとめたものですが、4人のパネリストのなかで、慶応義
塾大学教授物理学者の米沢富美子氏の意見が心に残りまし
た。私たちが21世紀を生きる若者達に伝えなくてはならない
ことが集約されているように思いましたので、私自身も忘れな
いために、書き留めておくことにしました。

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前略

20世紀に進歩した技術の一つは、地球の上で太陽のエネル
ギーを解放したこと。これは核融合、核分裂です。一つはコン
ピューター。もう一つはDNAを解明し、クローン技術まで行き
着いたこと。20世紀の代表的な技術を挙げるとき、私はこの
三つを選びます。

技術には、必ずプラスとマイナスの使い方があります。核融合、
核分裂もプラスに使えば、ガンの治療にも使えるし、エネルギ
ーを生み出すことも出来る。マイナスに使えば、核兵器にもな
るわけです。それは20世紀の高度技術だけではなく、かなづ
ちだって人の頭に使えば凶器になる。そのプラスとマイナスの
ギャップが、顕著に見えてきたのが20世紀の特徴です。

幸福とは本当は、自分の欲しいものを手に入れることではな
く、自分の持っている物で満足するものなのですが、そのよう
なことはなかなかできない。欲しい物を手に入れたいと考える。
20世紀はまさに、欲望が解放された世紀です。20世紀以前
は、欲望をあまりプラスには評価しなかった。欲望を語ること
が恥じであった時代から、それを語ることが、むしろ誇りである、
人間としての証明であるということになったのが20世紀だった。

それ自体は良いことでしょう。ただ、一つのものを手に入れる
と、次のものを手に入れたいというのが人間の本性です。
それがあったからこそ、科学も技術も進歩してきた。

ただ、それが破滅的なところまできてしまった。それを目撃し、
実感した世紀じゃなかったかと思います。その上で次なるステ
ップを考えていくことが大切ではないか。欲しいものをエスカレ
ートさせるのではなく、持っているもので満足することを学んで
いくことが21世紀への課題ではないかと思います。
…………………………

私はこの米沢教授の意見は、科学の分野だけではなく、私た
ちの生活すべてに言えることなのではないかと思います。
人間の本性は一つが成就するとさらにその上を望みます。そ
れが科学や医療などすべての発展につながることは確かです。
しかし、その発展の中で、本質を見極めること、何が一番大切
なことであるかを常に忘れずに考え続けていくことが、私たちの
課題ではないでしょうか。

座談会の編集委員が最後にこう結んでいます。
『座談会が世紀末の状況を考えるきっかけとなったら、本当に
 幸福である。』

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