| 更年期とは、年をとることによって、成熟した卵巣の働きがし だいに衰えてきて、その働きがほとんどなくなるまでの期間を 意味しています。簡単にいうと、性腺の働きが成熟期から老 年期へと移り変わる時期のことです。ある統計では、39〜 54歳までの期間をこれにあてています。この時期は、女性 にとっていろいろの心理的悪条件が重なりやすく、それに内 分泌ホルモンの失調に基づく自律神経のバランスの崩れが 加わって、心身ともに異常な状態におかれやすい条件がそろ っています。 更年期障害とは、この時期の女性に特有の、多種の精神的、 身体的愁訴を伴う疾患です。その基盤には、自律神経の失調 があり、さらにホルモンの乱れや精神的ストレスが考えられま す。 血の道症は、あらわれる症状は更年期障害とほとんど同じで すが、さらに範囲が広く、妊娠、出産、流産、月経など、女性 の生理現象一般に伴って発症するものをいいます。したがっ て、年齢的にも広範囲で必ずしも更年期に起こるとは限りま せん。 漢方医学では、更年期障害と血の道症は、「気・血・水」の変 化やアンバランスから起こると考え、それぞれの症状に従って 体全体のバランスを調える処方を選んでいきます。 現代医学では、更年期障害・血の道症に対して、ホルモン療 法をはじめ、向精神薬や精神安定剤などの投与で、かなりの 効果を上げています。しかし、漢方薬によるか、あるいは漢 方を併用することで、さらに有効な治療が期待できます。また 漢方で適応症に合致した処方を投与すると、精神的状態が 改善されるというメリットもあります。 次に更年期障害・血の道症に使われる主な漢方薬の処方を あげてみます。 @柴胡加竜骨牡蠣湯(サイコカリュウコツボレイトウ) 実証。便秘の傾向があり、肩こり、動悸、不眠、不安がある 場合。 A桃核承気湯(トウガクジョウキトウ) 実証。月経が乱れがちで、のぼせ、顔のほてり、肩こり、便 秘がある場合。 B桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン) 実証。桃核承気湯より症状が軽く、便秘はなく、冷えのぼせ がある場合。 C三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ) 実証。頭部に充血感があり、のぼせ、イライラ、不眠、便秘 がある場合。 D加味逍遙散(カミショウヨウサン) 中間証及び虚証。のぼせ、冷え、肩こり、めまい、不安、不 眠など不定愁訴が多い場合。 E抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ) 中間証。怒りっぽく、イライラ、興奮、不眠がある場合。 F柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ) 中間証。のぼせ、上半身が発汗しやすい、肩こり、胃腸が 弱いなどの症状がある場合。 G半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ) 中間証及び虚証。のどに何かつかえているような感じがし、 イライラ、みぞおちのつかえなどがある場合。 H桂枝加竜骨牡蠣湯(ケイシカリュウコツボレイトウ) 虚証。不安、のぼせ、肩こり、動悸、不眠、髪が抜けやすい などの症状がある場合。 I当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン) 虚証。色白で月経不順があり、手足が冷えやすく疲れやす い場合。 「自律神経失調症の漢方処方」「月経不順の漢方処方」も参 考になさってください。 |