婦人科の感染症

婦人科感染症は主として生殖器(性器)の感染で、治療が遅れると生殖
機能の低下、敗血症など重大な結果を起こす恐れがあります。女性性器
は骨盤内臓器ですが尿路と同様に微生物感染の機会が多く、初期には
顕著な症状が見られないため、適切な診断と治療が必要です。

1.女性の生殖器

女性の生殖器は受精・胎児の成育・分娩という種族保存のための最重
要な仕事を行う器官です。構造としては内性器(子宮、卵管、卵巣、膣)
と外性器(陰核、膣前庭、小陰唇、大陰唇)に分かれています。
思春期以降、女性はエストロゲンの影響を受け、膣内のデーデルライン
桿菌が増加し、pH4.5〜5.5 の酸性となり、他の細菌の発育は抑制され
ています。これを膣の自浄作用と言います。

2.代表的な感染症と症状

婦人科感染症には大別して外因になる性感染症と、内因(膣内細菌叢)
が病原となる感染症があります。原因微生物は各種細菌だけではなく、
ウィルス、真菌、原虫など多岐にわたりますが、内性器の代表的な疾患
は骨盤内炎症性疾患と総称される感染症で、その多くは下部性器の感
染(細菌性膣炎、子宮頸管炎など)が上行性に波及していくものです。
治療が遅れると敗血症性ショックや不妊などの後遺症を起こすこともあ
るので、感染を招いたり放置したりすることの無いように注意が必要で
す。外性器感染症では膣カンジダ症やトリコモナス症が多い一方、バル
トリン腺炎などの細菌性感染症も見られます。

婦人科感染症の診断と治療

診断:各疾患ごとに自・他覚性所見を参考に、細菌培養や核酸増殖同
   定法(抗体検査)などで原因微生物を確認します。原因菌は多彩
   でしばしば複数菌が分離されます。

治療:臨床診断で感染症が疑われた場合、通常、細菌検査の結果を
   待たずに抗菌薬療法を開始し、原因菌が判明すれば最適な薬剤
   に切り替えます。

性感染症

1.性感染症とは
性感染症は性交または類似行為によって感染する疾患で、昔は梅毒、
淋病などが知られていましたが、最近ではクラミジア感染症、トリコモ
ナス膣炎、性器ヘルペス、カンジダ膣炎、HIV 感染症なども加えて総
称されています。性感染症は近年増加傾向にあり、とくに性器クラミジ
ア感染症、淋菌感染症の増加が著しく、また女性の割合が多くなって
います。子宮頸管炎では淋菌、クラミジアなどによる性感染症が大部
分を占めています。

2.性感染症とキノロン系薬
淋菌:淋菌はかつてはキノロン系薬が有効でしたが、近年ではキノロ
   ン耐性淋菌が問題となっているため、処方されることが少なくなり
   ました。
クラミジア:クラミジアに対しては現在キノロン系薬の耐性は見られな
   いこと、濃度依存性の殺菌効果を示すことから第一選択薬として
   使用されています。
   (参考:Pharmavicion Vol7)

クラミジア」も参考になさってください。

6月の「ひとこと」

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