| 近年の研究の進歩によって、睡眠障害には不眠症や過眠症、また睡 眠覚醒リズムの障害など、さまざまな病態があることがわかってきま した。 実際の数からいえば不眠症で悩む方のほうが多いのですが、過眠症 は、居眠りによって交通事故、産業上の事故などを起こし、社会的に みると、不眠よりも障害ははるかに大きいといえます。過眠の大部分 は、夜間の不眠あるいは睡眠不足(意図的な睡眠時間短縮)による もので、不眠と過眠は表裏一体であるともいえます。 過眠を起こす夜間の不眠には、ふつうの不眠症だけでなく、最近、注 目されている「睡眠時無呼吸症候群」のように、本人が夜間の睡眠 障害に気づいていない場合もあります。これは、10秒以上の呼吸停 止が睡眠1時間あたり5回以上認められるものです。このような状態 が長期間続くと、過眠から作業効率が低下したり、交通事故、産業 上の事故などを起こす危険性が高くなります。重症例では高血圧や 不整脈などの循環器系の病気を合併することもあります。 「ナルコレプシー」のように、病気として過眠を起こすものもあります。 その基本的な症状は、反復する日中の眠気です。通常は10〜20 分くらい眠ると目が覚めてさっぱりします。しかし、しばらくすると再び 眠気が襲ってきます。 このような過眠症は、不眠症ほど苦痛にならないので、本人も周囲 の人もあまり重大なことととらえない傾向があることから、注意が必 要です。 また、近年、急激に増えつつあるのはリズム性睡眠障害で、正しくは 「概日リズム性睡眠障害」といいます。この障害は、海外旅行などで の「時差ぼけ」や、交代制勤務者でおこる一過性のものなど、誰にで もおこりうるものと、このような環境の変化がないのにもかかわらず 起こる病的なものがあります。 後者の代表的なものが「睡眠相後退症候群」です。これは、夜なかな か寝つかれず、朝はなかなか起きられないという、いわゆる「宵っぱ りの朝寝坊」の極端なものです。この場合、学校や会社に間に合う 時間に起きられないので、遅刻や欠席が多くなります。昼間の眠気 が強いので、授業や仕事に集中できないといった障害がおこります。 このほか、早寝早起きの傾向が顕著になる「睡眠相前進症候群」、 入眠・覚醒時刻が毎月1〜2時間ずつ遅れていく「非24時間睡眠覚 醒症候群」、まとまった睡眠を一度にとることができずに、1日に数 回の不規則な短時間睡眠をとる「不規則型睡眠覚醒パターン」など があります。 (参考:暮らしと健康 No.56) 「不眠症の漢方治療」「自律神経のメカニズム」「自律神経失調症」 なども参考になさってください。 |