病気には魔の時間がある

病気はすべての時間に同じ割合で発生しているわけではありません。病気
には起きやすい時間と起きにくい時間があります。
このことは「心臓、魔の時間帯に注意」「時間医学」にも書いていますので、
お読みになってください。 

上記ページにありますように心筋梗塞は朝起きやすいのですが、それは次
のような機序によるものです。
血圧を上げるレニンというホルモンがあります。このレニンは朝になると
増えます。また、緊張すると分泌され、心筋梗塞の引き金になるカテコー
ルアミンというホルモンがあります。これも朝に多く出ることがわかりまし
た。さらに血小板の凝集能が高まると血液がドロドロになり、血圧を上げ
たり血管をいためたりします。この血小板の凝集能も朝方に亢進します。
このように心筋梗塞の原因となることが朝に集中しているのです。

私たち人間は誰もが体外時計、体内時計、生体時計の3つの時計に支配
されて生きています。生体時計とは太陽の運行につかさどられた体外時
計と時間遺伝子に制御された体内時計が複雑に作用しあって体の中で作
られるリズムを言います。
このリズムはその人固有のもので、一人一人微妙に違います。遺伝子と
環境で個別化されたリズムの違いが個性として現れ、さらにまたこのリズ
ムが人の心身の働きや病気が発生する時間を決めているのです。

心筋梗塞のほかに魔の時間がわかっている病気には、次のようなものが
あります。

ガン
私たちの基本的なリズムは「昼ー夜」というリズムで、寝ている状態と起き
ている状態を繰り返しているわけですが、細胞は起きてい活動していると
きに消耗します。痛んだ細胞の修復は夜行われるのですが、言い換える
と細胞は主として夜中に増殖することになります。
ガン細胞も本質的には普通の細胞と変わりないので、夜中に増殖します。
それを考えると、抗ガン剤の投与も昼間より夜にしたほうが最小限の副作
用で最大限の効果が期待できると言えるでしょう。

喘息
喘息の発作は明け方に起きやすい症状です。その理由は、気管支が午前
4時ごろに一番狭くなるためです。

脳出血
脳出血は夜中に多発します。脳出血の一因は高血圧ですが、その高血圧
には昼間にあがるタイプと、夜寝ている間に上がるタイプの2種類がありま
す。このうち脳出血を起こしやすいのは夜寝ている間に血圧が上がる後者
のタイプで、60歳以上の高血圧患者さんのうち4割か5割はこちらに当て
まるといわれています。そのようなタイプの人が夜に脳出血を起こしやす
いということがわかってきました。

胃潰瘍
胃潰瘍は胃液がたくさん出ることで起こります。この胃酸は昼間よりも寝
ているときにたくさん出ます。そのために、胃酸を抑える薬は就寝前に飲
むほうが効き目があります。

高コレステロール血症
高コレステロール血症の原因は体内で作られるコレステロールが増える
ことにあります。コレステロールは夜作られるので、厚生労働省も今では
コレス手ロールを下げる薬は夜飲むよう指導するようになりました。

糖尿病
糖尿病はインスリンが足りなくなる病気です。インスリンの分泌量は1日
中一定というわけではなく、多くの人では午前中少なくて昼からたくさん
出てきます。
そのため、糖尿病の食事を考えると、朝は糖質を減らしたほうが良いとい
うことになります。インスリンの出が少ないときに炭水化物を多く摂取する
と、糖尿病が悪化する恐れがあるためです。
                 (参考:栄養と料理 第70巻9号)

生体リズム」「時間薬理学」などのページも参考になさってください。

7月の「ひとこと」

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