トウガラシ

トウガラシは、世界中で広く使われている香辛料です。豆板醤、カレー粉、
タバスコなど、世界各国でトウガラシを用いた調味料が使用されています。
日本でも一味唐辛子や七味唐辛子はなじみの深いものです。
トウガラシが世界中に広がったのは数世紀前のことです。原産地の中南
米では紀元前から栽培されていましたが、欧州への伝播は1493年、新大
陸を発見したコロンブスにより紹介されたのがきっかけでした。当時、香
料として貴重だったコショウは栽培が難しかったのですが、トウガラシは
気候や風土への順応性が高く、容易に栽培することができたため、わず
か100年余りで急速に世界中に広がりました。日本への伝来時期には
諸説ありますが、16世紀後半の南蛮貿易によるという説が有力です。

トウガラシの種類は2000種とも3000種とも言われ、色、形、大きさ、風味
はバラエティーに富んでいます。辛味の強さも幅広く、シシトウガラシのよ
うに全く辛くないものから、激辛のものまで様々となっています。
日本で栽培されている主な品種は、鷹の爪、八房、伏見などです。中で
も鷹の爪は非常に辛味が強い品種です。

カプサイシン

トウガラシの辛さはヒリヒリと熱く、刺激が持続するのが特徴です。この辛
味の正体が「カプサイシン」という成分です。品種によってカプサ
イシンの含有量には差があり、それが辛さの強弱に反映されます。単純
に辛さだけを比較した場合、カプサイシンはコショウの辛味成分であるピ
ペリンの100倍以上とされています。この強い辛味で舌や胃が刺激され、
食欲増進効果がもたらされます。
トウガラシを食べることで、体が温かくなり、汗が噴出したという経験をお
持ちのかたが多いことと思いますが、これはカプサイシンに、体熱
産生(エネルギー代謝)を亢進させる作用があるためです。
カプサイシンは摂取後、速やかに吸収され、中枢神経を介して副腎から
のアドレナリン分泌を亢進させます。アドレナリンは体脂肪の分解を促進
して血中脂肪酸濃度を上昇させたり、筋肉や肝臓におけるグリコーゲン
の分解を促進して血糖値を上昇させる作用があり、これらがエネルギー
源として燃焼し、体温上昇をもたらすと考えられています。また、交感神経
系の賦活により、体熱産生に関与する褐色脂肪組織が活性化されること
もわかっています。

このようにカプサイシンは、食欲を増進させながら、エネルギーの消費量
を増やして体脂肪を減らす作用があることから、そのダイエット効果が注
目されるようになっています。
また、カプサイシンによってエネルギー代謝が活発になることで、血液の
循環が良くなるため、冷え性の改善や、冷えが原因で起きた肩こりや腰
痛を和らげる効果も期待できます。

カプサイシンには抗菌作用があることも確認されています。歴史的にみ
ても、キムチや辛子明太子がそうであるように、トウガラシをはじめとす
る香辛料は食品の保存性の向上を目的として使用されることも多いで
す。また最近では、カプサイシンに免疫力を高める効果があるという指
摘もあり、風邪などの感染症の予防に対する有効性が期待されていま
す。
カプサイシンは熱に強く調理しても辛味を損なわないので、料理の素材
として幅広く利用されています。トウガラシを味付けのアクセントとして使
えば、辛味の刺激で薄味をカバーできるので、塩分摂取量を抑えること
ができるという利点もあります。
ただ、カプサイシンは口や胃などの消化管粘膜に対する刺激が強いの
で、一度に多量に摂ると体調を崩しかねません。無理をせず、辛さを楽
しむ範囲で、カプサイシン摂取に努めましょう。
                     (参考:NIKKEI Drug Information)

カレー粉の薬効」も参考になさってください。

8月の「ひとこと」

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