| 「肩こり」という言葉には、肩が硬くなる、重だるくなる、こわばる、 つっぱるなどの感じが含まれて使われています。しかも、肩だけ にとどまらず、首から背中までの広い範囲に起こることが多く、 後頭部の緊張や重だるさを伴うことも少なくありません。 これは重い頭を支えるために、首や肩の筋肉が緊張をしいられ るからで、緊張しつづけた筋肉は血行が悪くなり、疲労物質も速 やかに排出されずにたまってしまうのです。 五十肩は、40代後半から50代にかけて突然起こる原因不明の 肩関節痛で、肩の運動が極端に制限されることと、肩を動かすと きに強い痛みが起こるという特長があります。ひどくなると、腕の 上げ下ろしができなくなったり、首が曲がらなくなったりすること もあります。 五十肩の場合は、腱、腱鞘などに変性や炎症の起こっているこ とが多く、夜中でも疼痛のために苦しんで眠れなくなることもあり ます。症状は数ヶ月ぐらいでとれる場合と、長い間炎症が続く場 合とがあります。 次に肩こりや五十肩に多く使われる漢方薬を書き出してみます。 【実証に使われる処方】 1)大柴胡湯(ダイサイコトウ) みぞおちから左右にかけて張っている人で、便秘しやすく、 首の両側から肩にコリのある場合に用います。 2)葛根湯(カッコントウ) 肩こりにも五十肩にも用いられます。頭痛を伴う肩こりの場 合は首の後ろから肩、背中にかけてこるときに用います。 風邪のひき始めの肩こりにも有効です。 【中間症に用いられる処方】 1)桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン) おへその左下に抵抗と圧痛があり、月経異常のあるときの 肩こりに有効です。 2)越婢加朮湯(エッピカジュツトウ) 汗をかきやすく、多少のども渇き、尿の出方が少ない場合の 五十肩で、急性期に有効です。 【虚証に用いられる処方】 1)当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン) 顔色が悪く手足が冷え、女性の場合は月経異常を伴うとき に有効です。 2)桂枝加附子湯(ケイシカブシトウ) ひどく汗をかきやすく、四肢のひきつれがあり、肩の痛みも 強い場合に用います。尿の出が少ないとか、手足が冷える というような症状も目標になります。 「肩こりのメカニズムと対処法」も参考になさってください。 |