| ガやチョウの幼虫、いわゆる毛虫の持つ毒針毛に触れることで起きる 皮膚炎を「毛虫皮膚炎」といいます。毒針毛にはプロテアーゼなどの酵 素類やヒスタミンが含まれており、これらによって皮膚炎が起こされる と考えられています。毛虫は、危機を感じると毒針毛を空中へ大量に 発射して身を守るという習性を持っています。したがって、毛虫に近づ いただけで皮膚に毒針毛が刺入し、炎症を起こす場合もあります。 毛虫皮膚炎では、毒針毛に接触してから数時間後にピリピリした感じ が生じ、次いで強い掻痒感を覚えます。その後、1〜2日のうちに浮腫 性の紅斑から米粒大の紅色丘疹に移行し、その周囲にも同様の皮疹 が現れます。毛虫皮膚炎の診断は、発症した状況などを十分に問診 することで行いますが、原因となった毛虫の種類は、患部に残存する 毒針毛を顕微鏡で観察することで推定するのが一般的です。 【治療】 毛虫皮膚炎の治療では、その激しいかゆみを抑え、治癒までの期間 を短縮することが目標となります。かゆみが遷延することで、掻破によ る蕁麻疹様腫瘍、結節性掻痒などを生じる恐れがあるからです。副作 用が起きやすい顔面を除いては、ベリーストロング以上のステロイド 外用剤が処方されることが多いです。また、皮疹の重傷度が高い場 合には、ステロイドの内服が用いられることもあります。診断時の皮 疹の程度よりもやや強いステロイド剤を選択するのが原則です。 ステロイド外用剤に対して不安感を持つ患者さんも多いですが、毛虫 皮膚炎に対するステロイドの使用は、大抵1週間以内で終了します。 さらに、毛虫皮膚炎の治療では、ステロイド療法に加え、掻痒感を抑 える目的で、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤も併用されます。 毛虫皮膚炎の中で原因の一つになるチャドクガは本州以南に生息し、 その幼虫は年に2回、5〜6月と8〜9月ごろに発生します。公園や 家庭にあるツバキやサザンカなどを好むため、チャドクガによる皮膚 炎は、都心部で比較的多く見られます。発生の時期にはこうした木の そばに近寄らないこと、できる限り長袖や長ズボンの着用が望ましい といえるでしょう。万が一毛虫に刺された場合は、患部に残存してい る毒針毛を除去するために、できるだけ早くガムテープなどではく離 する処置を行い、その後流水などで洗い流すことが大切です。また、 石鹸と流水で洗浄するのも効果が高いとされています。 (参考:NIKKEI Drug Infomation) |