| 【アキレス腱が切れる】 腱は光沢をもった丈夫な結合組織の線維束で筋肉を骨の付着部 または別の構造につなぎ、筋線維の力を一点に集中するうえで 重要な役割を果たしています。アキレス腱は、下腿三頭筋を足の かかとに付着させている人体最大の強力な腱です。 アキレス腱断裂は下腿三頭筋に強い張力が生じている状態で、 急激に足関節(足首の関節)の背屈(上方に曲がること)を強制 されたときに起こりやすいとされています。 好発部位はかかとから2〜4センチで、経験者の多くは断裂時の 強い痛みについて「ボールが当ったような」あるいは「背後から棒 で叩かれたような」感じ、あるいは「ブツッ」「バン」という断裂音を 聞いたことを訴えます。またかかとの上を左右比べると断裂した 方は弾力がなくなってへこんでいます。次いで出血のために足部 に内出血ができます。つま先立ちはできない状態です。 患者をうつぶせにし、患肢の膝を軽く曲げさせ、片手で患者のふ くらはぎを掴むと、アキレス腱が正常であれば足は底足(足首が 下方に→このテストの状態では天井に向かって屈曲)しますが、 断裂していると足の位置はかわりません。 アキレス腱断裂は、30〜40歳代に多発し、8割がスポーツ外傷 とされていますが、中年以降ではちょっと足を踏みはずした程度 でも切れることがあります。 腱組織は25〜30以降、加齢とともに弱くなります。アキレス腱の 周囲は普段でもあまり血行の良くない場所で、40歳前後に多い のも腱などの柔軟性がなくなってきているためと考えられます。 【治療と予後】 アキレス腱断裂の際の応急手当としては 1)すぐうつぶせに寝かせ、足の甲をできるだけ床面につけるよう にして足先を伸ばしアキレス腱を暖める形をとる 2)できれば副木を使って膝の上(大腿部)から足先まで固定する 3)立ったり歩いたりしないで、うつぶせのまま医師のもとに運ぶ ことが理想です。 断裂部は腱細胞の再生と結合組織の増生によって癒合しますが、 中年以後は後者が主体です。 治療は保存療法と手術に大別されます。前者では、切れたアキ レス腱の両端をできるだけ近づけてギプス固定し、足先から膝上 まで2週間、足から膝下まで3〜4週間の計6週間程度かけて自 然治癒を待ちます。 後者では断裂した腱を30分〜2時間程度の手術で縫合しますが 術後約6週間のギプス固定が必要です。 いずれもギプスがとれた後、足関節の可動性を回復させる訓練 を行います。前者の場合は再断裂の危険性があります。完全断 裂の場合、再びスポーツができるまでに前者では9〜12ヶ月、 後者では6〜8ヶ月くらいかかるとされています。 (参考:PARMAVICION VOL.4) |