傷治療の常識に誤り

すりむき傷などは消毒してガーゼを当てるという治療が誤りであるという説
が広まっています。
その理由は、消毒薬は細胞に毒として働き、細菌を殺しますが、それ以上
に傷口を治そうとする細胞をも殺してしまうことにあります。
外科系雑誌「消化器外科、術前・術後管理マニュアル」(98年)にも「消毒
液で創面(傷面)を拭いている場面をよく目にするが、これは創治癒を障
害する」と書かれています。

すり傷が治るメカニズムは
すり傷で出血→血を固める血小板が出る→死んだ細胞や細菌を除去しよ
うと好中球、マクロファージといった細胞が登場する→こんどは傷口をくっ
つようとする線維芽細胞が集まり→表皮細胞がやってきて傷口を塞ぐ、と
いうようになっています。重要なのは、それぞれの段階で、様々な細胞成
長因子が分泌され、傷を治そうと働くことです。
細胞成長因子とは傷口のジュクジュクのことですが、傷を治そうとしてい
る細胞を殺すのが消毒であり、細胞は乾くことで死んでしまいますが、乾
かしてしまうのがガーゼなのです。
化膿が心配で消毒するということになりますが、傷面に異物や壊死組織が
無い場合には化膿の心配はありません。
消毒薬にはイソジン(ポピドンヨード)などが使用されますが、イソジンを異
物や壊死組織のあるところに使用すると、殺菌力は急速に低下し、殺菌
力が無くなっても、創面の細胞を傷つける力が残ることがわかっています。

それではどのような方法が正しい傷の手当てなのでしょうか。
傷面に異物・壊死組織がある場合は局所麻酔し、水道の流水で徹底的に
取り除きます。多少出血しても止血は不要で、消毒薬も不要です。その後
水気を拭き取ったら、創傷被覆材で覆います。
これが今傷の手当てとして最も正しいとされている方法です。

傷にかさぶたができているときには、かさぶたは壊死組織なので、即刻除
去するのが正しい考え方です。かさぶたができたら治る、はがしたら治り
が遅くなるというのは間違いです。かさぶたの無い状態にして、創傷被覆
材で覆うのが、傷が治る最も早道です。

消毒しないで創傷被覆材で覆うと細菌が増えるのではないかという疑問が
ありますが、消毒・ガーゼと比べ、創傷被覆材で覆って密閉状態にしたほ
うが感染率が低いと報告されています。

この治療法はガーゼの取換えも無く、消毒でしみることも痛みも無く早く治
る方法で、傷口は約24時間で塞がると報告されています。

創傷被覆材は傷の状態により種類があります。床ずれ治療によく使われますが、外傷
   治療にも保険が適用されます。

                        (参考:くらしの百科2121)

傷の治し方」も参考になさってください。

6月の「ひとこと」

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