腸粘膜の構造と機能

消化管の内側を覆っているのが粘膜で、この管の内側は体の内側にあるよ
うに思えますが、上方では口から続き、下方では肛門へとつながっていて、体
の外表面の一部と考えられます。手や足の皮膚に傷がつくとそこから細菌が
侵入し、感染による炎症が起きますが、これは皮膚というものが普段は有効
なバリアとして働いていることを示しています。

一方、腸の内腔には天文学的な数の細菌が常在菌としているにも関わらず、
普段は何も起こりません。これは細菌がいる腸の内腔は体の外表面ではあ
っても、体表の皮膚と同様に粘膜が細菌の侵入を防いでいるおかげです。こ
の粘膜の表面を覆っているのが1層の上皮細胞であり、これが基底膜という
薄い膜の上に隙間なく並んでいます。腸粘膜の上皮細胞はバリアとしての働
きの他、腸内腔からの諸物質の吸収、内腔への腸液の分泌をはじめ多くの
働きをしています。

腸内には栄養だけでなく上記の細菌などの微生物、食事や細菌由来の毒素
などが毎日大量に通過していきます。その中から栄養素は吸収するが毒素
や病原体からは生体を守るという働きを日夜続けているのです。しかも、守
るときに痛みや熱などの強い反応を起こさずに何事もなかったかのようにう
まく処理をしています。それが何らかの因子によって壊され、生体防御機構
が崩れた状態で生じるのが特発性炎症性腸疾患です。それらは、本来なら
炎症反応を起こさないはずの腸管内容物や腸の成分に対して炎症反応が
起きてしまい、その結果として腸管が阻害されてしまう状態です。
それらの疾患には、潰瘍性大腸炎、クローン病などがあります。

クローン病のことでは
クローン病など炎症性消化器疾患が増えています」「クローン病の治療
などをお読みになってください。 

潰瘍性大腸炎の症状は慢性の下痢、粘血便などで、軽症では便の症状の
みですが、重くなると発熱、腹痛、頻脈、脱水を伴い、長引くと貧血や栄養
障害を伴うことがあります。          (参考:Pharmavicion Vol7)

9月の「ひとこと」

「こらむ」と「ひとこと」項目別