| マグロは部位によって、含まれる栄養素が異なります。赤身にはタン パク質と鉄、血合いには鉄、ビタミンE、タウリンが多く含まれていま ま。また、トロにはエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸 (DHA)が豊富に含まれています。 マグロに含まれるタンパク質は良質で、必須アミノ酸のメチオニンを 多く含みます。メチオニンは食品中に不足しやすいアミノ酸で、脂肪 肝を防ぐ効果があります。そのほかマグロのタンパク質には、必須微 量元素のセレンも含まれています。セレンは脂肪の酸化を防ぐ一方、 ビタミンEと共同で過酸化脂質を分解する働きがあります。 近年、マグロの栄養素のうち、EPAとDHAが注目されています。 EPAとDHAは、αリノレン酸からプロスタグランジンが合成される際 の中間体で、中性脂肪とコレステロールを減らして血液の粘度を下げ て血栓を予防する働きがあります。このため、脳梗塞や心筋梗塞など を防ぐだけでなく、脳血管障害が原因で起こる老人性認知症の予防 や治療にも有効と言われています。 さらにDHAには脳細胞を活性化する働きもあるようです。脳にDHA が十分に補給されると、脳神経の突起の伸びが促進され、脳細胞間 の情報伝達がスムーズになるといわれ、老人認知症患者にDHAの カプセルを飲ませたところ、判断力、計算力が高まったという報告が あります。DHAを最も多く含むのはマグロの目窩の脂肪であり、次 いで中トロ、大トロの順となっています。 気をつけていただきたいのは、眼窩の脂肪やトロにはビタミンDが多 く含まれているため、それらを過食すると食欲不振や吐き気、体重減 少などの過剰症を招く恐れがあります。ちなみにこれらの症状は、1 日の所要量の10倍のビタミンDを継続的に取りつづけた場合に起き ることがあります。トロ1切れには100IUのビタミンDが含まれており、 それだけで1日の所要量が満たされるのです。 また、強心剤のジゴキシンを服用している患者さんでは、ビタミンDが 誘起する高カルシウム血症がジゴキシンの毒性を増し、ジギタリス中 毒を起こすことがあります。 一方、抗てんかん剤のフェニトインをビタミンDと一緒に摂取すると、 ビタミンDの活性が低下し、カルシウムやリンの吸収が悪くなります。 そのほか、マグロのような青魚はヒスチジンを多く含んでいるため、 抗結核治療剤のイソニアジドと一緒に摂取すると、体内にヒスタミン が蓄積されて顔面紅潮、頭痛、嘔吐、発汗、動悸などの中毒症状が 現れることも知られています。 (参考:NIKKEI Drug Infomation 1999,10) 「DHAとEPA」「貧血の予防」などのページも参考になさって下さい。 |