| 近年、生活習慣病が問題になることで健康への関心が高まり、特に疾病の 予防に重点が置かれるようになりました。そのため、薬を食事に取り込んだ 薬膳料理の普及や食べ物の機能を疾病の予防に役立てようとする「特定 保健用食品」や健康食品の開発など様々な動きがあります。その中で私達 は氾濫する情報をいかにして判断するかが重要な時代になっています。 薬用植物の種類、使用法は異なりますが世界の国々は長い歴史を経て、 天然薬物を医療に取り組んできました。医療体系を「伝統医療」と「新しい 医療」に分けたとき、それぞれの意味するものはその国の状況によって大 きく異なっているようです。日本を始め多くの国は、「伝統医療」は天然薬 物(漢方薬)や鍼灸による東洋医学を指し、「新しい医療」は西洋医学に 基づいた最新の医療であると認識されています。ところがアメリカでは全 く逆で、「伝統医療」とは合成医薬品・バイオ医薬品を用いた近代医学で あり、「新しい医療」というと鍼灸・ダイエタリーサプリメントを想起すると言 われています。表現はどうであっても、薬用植物・生薬を治療薬としている 国は地球上の80%を占めています。近代医学の道を歩んできた国々も 全く薬用植物を捨て去ったわけではなく、医薬品の規格書である薬局方 の中に植物を基源とする生薬の利用の様子を伺うことができます。 漢方薬、中成薬、韓薬という総称で日本、中国、韓国がそれぞれの国の 状況に応じてこれらの天然物を使ってきたのこと同様に、ヨーロッパ諸国 はハーブを主に薬用に、ごく一部のものは食用としています。最近アメリカ でもこれらの天然物を健康維持に利用しようとの試みが始まり、薬と食べ 物の中間にサプリメントを位置づけて普及拡大を図っていますが、一部で は利用法を誤ったことによる副作用が明らかになっています。 【薬用植物・漢方薬の最近の問題点】 有害成分を含有:日局では木通なので問題はないが、中国製関木通には アリストロキア酸を含む(腎障害、尿路ガン) 過剰摂取:カワカワは日本では販売はできないがインターネットで入手可 能。体内グルタチオン量が低下した時に毒性が現れる (肝機能障害、死亡) 適用外使用(証):小柴胡湯など体質を見極めず安易な個人購入は問題 を起こす場合がある(間質性肺炎、死亡) 薬物相互作用:小柴胡湯とインターフェロンを同時使用すると問題を起こ す場合がある(間質性肺炎、死亡) 【植物性健康食品の最近の問題点】 有害物質を含有:サイリュウム種皮は、食欲抑制作用がありビスケットな どの原料として使用されているが、アレルギーを誘発するタンパ ク質を含んでいる。イチョウ葉は日本では有機溶媒で抽出したも のは医薬品として扱っているが中国産の製品にはアレルギー物 質を含んでいるものや、食中毒の原因物質を含んでいるものが あるので、ビタミンB6欠乏症の人は注意が必要である (アレルギー、ビタミンB6欠乏) 薬用成分を含有:アメリカでは単独の麻黄(マオウ)製品を販売していた が、FDA は8mg/回上限を24mg/日と規制した。日本では麻黄 10%以上含むものは覚せい剤として扱っている (中枢神経興奮、死亡) 合成医薬品を添加:食欲を抑制するフェンフルラミン類は日本では医薬 品として規定されているが、日本製居阿木では試験逃れのため 混入されているものがある(やせ薬などで問題になった) 薬物相互作用:セイヨウオトギリソウはジゴキシン、フェニトイン、経口避 妊薬と同時に服用すると効果が低下する IT の普及により自国にいながら海外の製品を輸入することが可能になり ましたが、効果効能と同様に安全性と品質の確かさについての情報に目 を向ける努力も重要なことです。 (参考:薬壺2035) 「特定保健用食品」「特別用途食品」などのページも参考になさって下さい。 |