タマネギの効用

タマネギは安価で料理の用途も広い野菜です。そのルーツはイラン、アフガ
ノスタンなどの中央アジアと言われています。日本には明治時代に伝来しま
したが、戦後、洋食が一般家庭で作られるようになって消費量が増加しまし
た。
タマネギは、欧州では古くから風邪薬、下痢止め、利尿剤などに利用されて
おり、日本でも「タマネギの薄皮を煎じて飲むと血圧が下がる」という民間療
法があります。

ジスルフィド類

タマネギをはじめ、ネギ、ニラ、ニンニクなどのユリ科ネギ属の香味野菜に
は独特のにおいがあります。このにおいの元がジスルフィド類です。
ジスルフィド類は、タマネギを切ることで生成されます。タマネギを切ると壊
れた細胞内からCSリアーゼという酸素が出てきますが、この酵素がまず、
もともとタマネギに含まれる含流アミノ酸を分解し、催涙性の辛味成分であ
るチオスルフィネート類を生成します。この状態で室温に放置しておくと、次
にチオスルフィネート類が熱反応で変化し、独特のにおいを放つジスルフィ
ドに変化するのです。
ジスルフィド類には、抗酸化作用や抗血小板作用があり、血液循環を良くす
る効果が期待できます。また、最近ではジスルフィド類の血糖降下作用も注
目されています。タマネギの濃縮乾燥粒を連用服用したところ、食後2時間
の血糖値が低下したという報告もあります。ジスルフィド類の血糖降下作用
は、インスリンの感受性を高めることによるのではないかと推測されていま
す。
また、ジスルフィド類には、タンパク質の糖化を抑制する効果もあります。
腎症、神経障害、視力障害といった糖尿病の合併症には、少なからず蛋白
質の糖化が関係しているため、糖尿病患者が積極的にタマネギを摂取す
れば、合併症の発症や進行を遅らせる可能性があります。

ジスルフィド類以外に、辛味成分のチオスルフィネート類にも、強い抗酸化
作用、抗菌作用、鎮静作用があります。さらに、無臭のサイクロアリインな
どの含流アミノ酸にも、においのある物質と同様に、抗血栓作用や血中コ
レステロール低下作用を期待できます。

食べ方

このように様々な効果が期待できるタマネギですが、食べ方には工夫が必
要です。
例えば、ジスルフィド類による血糖降下作用を期待する場合、1日の必要
摂取量は約50g(中タマネギ4分の1個)にすぎません。しかし、ジスルフィ
ド類の生成過程に必要なCSリアーゼは、切らないと細胞内から出てきま
せんし、熱を加えると失活してしまうため、タマネギを丸ごと加熱してしまう
と、ジスルフィド類は生成されません。また、辛味やにおいを減らすために
切ったタマネギをしばらく水にさらすことも多いですが、これでは水溶性の
ジスルフィド類やチオスルフィネート類が溶け出し、せっかくの有効成分が
無駄になってしまいます。
タマネギの多彩な成分を効率よく体に取り入れるには、切ったらまず30分
ほど室温に放置し、水にさらさず、そのまま調理に使うことが一番です。煮
込む場合には、煮汁も飲むことです。ジスルフィド類は、加熱するとトリス
ルフィド類などに変化しますが、こちらにも同様の効用があると言われてい
ます。               (参考:NIKKEI Drug Information)

12月の「ひとこと」

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