冬場の食中毒とノロウィルス

食中毒は夏場だけではなく、冬場でも起きています。夏の食中毒の多くは
細菌によるものですが、冬の食中毒はウィルスが原因で、11月から3月
にかけての食中毒様胃腸炎事例の大半がノロウィルスによって引き起こ
されています。
ノロウィルスは1972年にアメリカの小学校で発生した急性胃腸炎患者便か
ら発見されたものです。
1997年5月に、食品衛生法改正で、食中毒病因物質に小型球形ウィルス
が追加されました。小型球形ウィルスは、電子顕微鏡で観察したとき、小
さな球形の構造をしている一群のウィルスを総称しています。
しかし、ウィルス性食中毒のほとんどはノロウィルスが原因であり、行政的
に小型球形ウィルスはノロウィルス(ノーウォーク様ウィルス)を示していま
した。近時の遺伝子解析、学会の状況等を踏まえて、さらに2003年8月に
食品衛生法の病因物質は小型球形ウィルスからノロウィルスに改められ
ました。従来、食中毒事例で小型球形ウィルス、ノーウォーク様ウィルスと
呼ばれていたものは、ノロウィルスということになります。

【食中毒の症状と治療】

潜伏期間は24〜48時間で、主症状は胃から腸へ運ぶ運動機能の低下
による吐き気、感染部位の空腸上部の炎症による下痢です。発熱、頭痛
など風邪様症状が見られる場合もありますが比較的軽症です。
治療はこのウィルスに効力のある薬剤がないので対症療法を行います。
通常は1〜3日で治癒します。

【感染経路】

感染はウィルスに汚染された飲食物を口にすることや、感染者からの二
次感染によって起こります。

1)中毒事例の多くは生カキなどの二枚貝ですが、このウィルスはカキ本
  来が持っているわけではなく、カキの体内で増殖もしません。人の糞
  便により汚染された海水中のウィルスがカキの内臓に濃縮・蓄積され、
  このように汚染されたカキ等を生で食べることにより感染します。
2)食品が糞便・吐物に汚染されたもの。
3)食中毒ではないが、患者の吐物・糞便が乾燥し、空中に漂ったものが
  口に入り感染する。

【感染防止・消毒】

1)二枚貝類は中心部まで85℃以上で1分以上加熱する。加熱用カキは
  生で食べないこと。
2)手洗いの励行。100個程度のウィルスで感染・発病し、下痢症状が消
  えても通常では1週間程度、長いときには1ヶ月程度ウィルスの排泄
  が続くことがあるので、食品を扱う前には、石けんと流水で十分に手
  洗いをすること。
3)吐物・糞便は乾燥しない前に処理する。これらを処理するときは、マス
  クとプラスチック手袋を着用する。糞便・吐物ははじめにペーパータオ
  ルでふき取り、拭き取ったペーパータオルは市販の次亜塩素酸ナトリ
  ウムを60倍程度に希釈したものに5〜10分間浸す。
4)調理台・調理器具・床の消毒
  ・次亜塩素酸ナトリウム
  ・煮沸する。              (参考:日本医事新報4105)

細菌性感染性腸炎の診断と治療」「乳幼児嘔吐下痢症」などのページも
参考になさってください。 

12月の「ひとこと」

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