活性酸素
1.その害と発生する環境や条件

1)活性酸素とは

活性酸素とは、空気中の酸素がより反応性(活性)の高い化合物になっ
たものの総称です。しかし、狭い意味では、@スーパーオキシドA過酸
化水素BヒドロキシラジカルC一重項酸素、の4つを活性酸素と呼ん
でいます。
酸素は私たち生物活動になくてはならないものですが、一方で強い殺菌
力(毒素)を持っています。活性酸素は活性に対して反応性が高くなり、
毒性がさらに強力になっています。
人間が空気中で取り入れた酸素は体内で食べ物を燃やしてエネルギー
を産生するために使われます。このとき必ず活性酸素が発生します。
このうち98%ぐらいは水に変化するので問題はないのですが、約2%
の活性酸素は処理されずに残ってしまいます。これが病気や老化の原
因になることがわかってきました。

2)活性酸素の害

活性酸素には殺菌作用があり、私たちが生きていくうえで欠かせないも
のであるといえます。しかし身体に害を及ぼさない正常な細胞に対して
も誤って反応し、攻撃してしまうことがあります。
4つある活性酸素のうち、スーパーオキシドとヒドロキシラジカルは対に
なっていない電子を持っています。これをフリーラジカルといいます。残
りの過酸化水素と一重項酸素はすべての電子が対になっているため、
フリーラジカルには分類されません。
対になっていない電子を持っていると非常に不安定のため、フリーラジ
カルは近くにあるものから電子を奪い、対にして安定しようとする性質が
あります。この電子を奪うことを「酸化する」、奪われることを「酸化され
る」といいます。
フリーラジカルである活性酸素が発生すると、その活性酸素は周辺の
ものから電子を奪って酸化させます。酸化された分子は隣の分子から
電子を奪います。その分子はそのまた隣から電子を奪うというように
連鎖的に酸化が起こります。
身体を構成している物質が活性酸素によって酸化・変性されていくと、
さまざまな障害を引き起こします。たとえば細胞が死んでしまう、たん
ぱく質が変性する、DNAが傷つく、などの障害です。こうして体内のあ
ちこちが酸化され、傷ついていろいろな病気が発生します。
酸化の力はフリーラジカルであるスーパーオキシドとヒドロキシラジカル
が特に強いのですが、フリーラジカルではない残りの過酸化水素と一
重項酸素は安心かというとそうではありません。これらは体内の状況
によってすぐにフリーラジカルに変化する性質を持っています。
つまり活性酸素はフリーラジカルであるか否かを問わず、身体を傷つ
ける危険な分子であるということができます。
日ごろのエネルギー活動により、消費した酸素の2%はやむなく活性
酸素になります。それが積もり積もると老化や加齢とともに発症する病
気として現れるのです。一方、いろいろな刺激物質によって急に活性酸
素が産出した場合は急性の病気の原因を引き起こすと考えられます。

3)活性酸素が発生する環境や条件

活性酸素はエネルギー生成に伴なって発生するほか、外部から刺激を
受けたときにも発生します。また、体外から活性酸素を直接取り入れた
ときにもその影響を受けます。

活性酸素が産生される刺激には次のようなものがあります。

@ストレス
ストレスを感じると臓器に血流が行かなくなり、ストレスが除かれると再
び血流が始まります。この状態が繰り返されると活性酸素が発生しま
す。
A運動
運動はエネルギー活動ですから、過激な運動を行って酸素を大量に消
費すると活性酸素も大量に発生します。
B紫外線・放射線
紫外線に当ると活性酸素を出すような物質が皮膚の下にあり、紫外線
を浴びると大量の活性酸素が出ます。日焼けやシミも活性酸素の働き
によるものです。
C炎症
体内に入ってきた細胞を殺すために活性酸素が産出されます。過剰に
出ると正常な部分まで攻撃してしまうほか、細菌が入ってきたと勘違い
してさらに活性酸素が出ることもあります。本来は活性酸素が細菌や
ウィルスを排除することで炎症が起こるのですが、その機構自体に活
性酸素が悪さをする可能性も含まれています。
D薬物
代表的なものに抗ガン剤があります。抗ガン剤は体内でフリーラジカル
に変わり、ガン細胞を攻撃する働きを持っています。しかし正常な細胞
もやっつけてしまうため、いろいろな副作用が生じます。
E環境汚染物質
ダイオキシン、排気ガス、農薬、殺虫剤などは身体の中に入って活性
酸素を発生させます。また、排気ガスなどはそれ自体に活性酸素を含
んでいることもあります。
Fタバコ
身体の外から取り入れる物質で一番影響が大きいのがタバコといえる
でしょう。喫煙者が吸い込む主流煙にも、タバコから立ち上る副流煙に
にも、大量の活性酸素が含まれています。
Gアルコール
アルコールも大量に体内に入ると代謝の過程で活性酸素が発生しま
す。               (参考:栄養と料第68巻11号)

免疫と活性酸素」も参考になさってください。

12月の「ひとこと」

「こらむ」と「ひとこと」項目別