| 「シックハウス症候群」という言葉をご存じのかたも多いと思い ますが、「シックハウス」とは居住者になんらかの健康障害を引 き起こす住宅を意味しています。健康障害を起こす要因として は、住宅建材や家庭用品等から発生する化学物質、ダニ、カ ビ、タバコなどが考えられています。また、それらの中でも化学 物質による汚染は、現在多くの部分が未解明であり、社会問題 となっています。 薬剤師会の定期刊行物にシックハウス症候群の事例と、汚染 防止の対策が載っていましたので、掲載いたします。 …………………… 【健康障害の事例】(東京都立衛生研究所の調査によるもの) @ホルムアルデヒドが考えられた事例 築後1年5ヶ月の木造一戸建て。依頼者は50代の男性で、新 築時に目の痛みを感じたが、1年経って再び夏に目の痛みを 感じた。測定結果は、ホルムアルデヒド濃度が指針値を大きく 上回っていた。(ホルムアルデヒドは接着剤の原料として使用 され、壁紙や壁紙用接着剤の原料としても利用されている。) AVOC(ホルムアルデヒド以外の揮発性有機化合物)が原因 と考えられる事例 築後8年の鉄筋集合住宅。依頼者は40代の女性で、リフォー ム直後から頭痛、目、喉の痛みを感じた。ホルムアルデヒドの 濃度は低かったが、ウンデカン、ブタノールの濃度が平均値の 4倍高かった。 B殺虫剤が原因と考えられた事例 築後16年の鉄筋集合住宅。依頼者は60代の女性で、畳にダ ニが発生したため、業者に薬剤駆除を依頼。その後頭痛、目、 鼻、喉の痛みを感じた。VOCでは、パラジクロロベンゼンが平 均値の40倍高かった。有機リン系殺虫剤を測定したところ、D DVP、フェンチオン、フェニトロチオンが検出された。 【汚染防止の対策】 具体的にいえば、家を新築あるいはリフォームする際は、フロ ーリングの板にはできるだけ無垢材を使用する。しっくいの壁 は理想的であるが、壁紙を使う場合はビニールクロスではなく 紙製のものを選び、接着剤にはホルムアルデヒドを含まないも のを選択する。畳は薬剤による防虫処理を施していないものを 選び、ダニ駆除は加熱による方法を依頼する。 空気の流れを考えて窓や換気口を設けるなど通風を確保する。 シロアリ駆除は薬剤に頼らず、シロアリの嫌う木材を使うなど基 礎や土台を工夫する。 新建材が使われている住宅でも、住む側の努力次第で室内の 化学物質濃度をかなり減少させることができる。 具体的には、建物の完成後はすぐに入居せず、少なくとも3ヶ 月間は窓や戸を開けて換気し、VOCを放散させてから入居す る。毎日窓を開けて換気を心がける。ホルモアルデヒドなどの 発生源となる建材はアルミシートで覆う、あるいは水性の高分 子ペイントを塗るなどして放散を押さえる。新たに家を買う(借 りる)ときは、リフォームのない中古住宅(築2年以上)を選ぶ。 建材以外で留意するポイントは、衣類の殺虫剤は出来るだけ 量を減らし、余った物は袋に入れてしっかりと密封して保存す る。殺虫剤は家のなかでは使用しない。有機溶剤を含むワッ クスや洗浄剤の使用を避ける。カーペット、カーテンなどのイ ンテリアは自然素材のものを選び、薬剤による防虫、防カビ 加工や防炎加工をしたものは避ける。家具はアンティークや 古い物が良いが、新しいものは購入後すぐに家に入れず1ヶ 月ほど家具店に保管してもらう、あるいは1ヶ月以上展示して あったものを購入する。 高断熱、高気密住宅では、従来の住宅に比べて換気量が非常 に少ないため、かえって不健康な住まいとなるおそれがある。 24時間換気を止めない、開放型ストーブは使わない、加湿器 の使用、植物の持ち込みをしない(結露の原因)、室内では喫 煙しない、温度差をなくすため部屋はなるべくオープンにつかう、 夏期は窓からの日射を避ける、温湿度計を置いて室内の状態 に気をくばる。 ……………………… 以上ですが、化学物質による健康被害を防ぐには、毎日の換 気を十分に行うと同時に、私たち自身が住宅に起因する健康 問題に関心と知識を持つことが大切だといえるでしょう。 |