| ソバはやせ地や寒冷地でも成育し、播種から70〜80日という短期間で 収穫できるため、昔から飢饉に備える作物として栽培されてきました。現 在、ソバは世界各地で食されていますが、その起源は中国南部と言われ、 日本へ伝来したの縄文時代といわれています。 日本では、ソバは麺に加工して食べることが多いですが、現在のようなソ バの形が確立したのは、江戸時代中期から後期にかけてといわれていま す。ソバは江戸の町人文化が築き上げた伝統食の中で、今なお庶民に 親しまれている身近な食べ物です。 ソバには、5月中旬から6月中旬にかけて種をまく夏ソバと、7月中旬か ら9月上旬にかけてまく秋ソバがありますが、ソバ屋などで見かける新ソ バは通常、秋ソバです。採れたての秋ソバで作ったソバは、色・味・香り どれをとっても優れています。 ルチン 昔からソバは身体に良いといわれていましたが、その効能に関する研究 が活発になったのは最近のことです。中でも注目されているのが、フラボ ノイドの一種のルチンという成分です。ルチンはビタミンPと呼ばれること もあります。 ルチンは毛細血管の柔軟性を保ち、出血を防ぐ作用があることがわかっ ています。加齢や動脈硬化によって、弾力性を失い破れやすくなった血 管を作り替え血流をスムーズにすることで、血圧を下げたり、虚血性心 疾患や脳血管障害を予防します。このほかルチンにはすい臓の機能を 活性化させたり、記憶に関連する細胞の保護や活性化に関与している のではないかと考えられており、現在も盛んに研究が行われています。 ルチンが含まれているのは、主にソバの実の殻です。なので、ルチンを 効率よく摂取するなら、精白度の低いいわゆる「田舎ソバ」が良いでしょ う。ソバ1人前(約200g)で1日に必要なルチンを摂取することができま す。最近では、ルチンが豊富なことから、わが国で一般的に食べられて いるソバとは品種が異なるダッタンソバ(苦ソバと呼ばれることもある)が 注目されています。 ルチンやソバに多く含まれているビタミンB1とB2は水溶性なので、ソバ を茹でた時に茹で汁に溶け出してしまいます。そのために茹で汁は捨て ずに、ソバ湯として飲むのがお勧めです。 ソバ蛋白質 ソバのもう一つの栄養的な特徴は、他の穀物より蛋白質含有量が多く、 しかも穀類だけでは不足しがちなトリプトファン、スレオニン、リジンなど の必須アミノ酸を多く含有していることです。蛋白質に含有されるアミノ 酸のバランスの良さを数値化した「アミノ酸スコア」で比較すると、小麦粉 や精白米に比べて、ソバ粉のスコアは非常に高く、植物性食品の中で 最も高いグループに属しています。 また、ソバの蛋白質にはコレステロールを低下させる効果があることも 報告されています。ある実験では、コレステロール添加食を摂取させた ラットに、ソバ蛋白質抽出物を投与したところ、血中コレステロール値の 顕著な低下が見られたそうです。 さらにこの実験では、ソバ蛋白質を摂取すたラットで、糞の排出量が増 加したことも確認されています。ソバには食物繊維も多く含まれているの でその整腸作用も無視できないのですが、ソバ蛋白質自体に便通改善 作用があるのではないかと考えられています。 薬味 ソバを食べる時に供する薬味にも意味があります。ネギに含まれるアリ シンという物質はソバのビタミンB1の吸収を高め、疲労回復に効果を 発揮します。ビタミンCと一緒に摂るとルチンの働きが高まるので、大根 おろしで食べるのも効果的です。ソバのおいしさだけでなく、ソバの効能 を引き出すのにも薬味が役立っているのです。 (参考:NIKKEI Drug Information) |