うつ病と非薬物療法

うつ病をひとことで表すと、気分の障害であるといわれます。気分の障害
というのは、耐え切れないほどの悲しみと悲嘆、落ち込みを感じ、楽しい
はずの活動に興味も関心もわかなくなってしまうことです。気分障害は、
精神的、身体的な症状を伴ないます。不眠・睡眠過多、食欲の低下・増
加、体重の著しい変化、疲れ、気力の減退、痛み、死や自殺への思いな
どです。
うつ病になりやすいのは、きちょうめんでまじめ、仕事も家事もめいっぱ
いやり、他人を思い、自分を抑えてしまう人です。そして、うつ病の危険
を高める出来事は、家族の死や大切な人との別れなどの喪失体験、夫
婦・親子など密接な関係でのトラブル、就職・異動・昇進など大きな環境
の変化、強いストレスです。

うつ病は心の病です。心は脳にあり、気分の落ち込みなどの症状は、脳
の機能障害と密接な関係にあることがわかっています。
うつ病の脳では、ある領域の活動の低下が起こっているし、脳血流も低
下しています。脳内の神経伝達物質の量が減り、働きが低下します。
神経伝達物質とは脳神経細胞が互いに情報伝達するときに必要な化学
物質です。
ですから、うつ病とは、単に気持ちの問題とか、精神的な弱さから生じて
いる症状ではなく、体の病気と同じで薬物療法が効果的になるのです。
脳内神経伝達物質が減って気分が落ち込んでいるのだから、そ
れを改善する目的で使用されるのが抗うつ薬です。
抗うつ薬では神経伝達物質の一つ、セロトニンにだけ作用するSSRI(選
択的セロトニン再取り込み阻害剤)とセロトニンとノルアドレナリンの二つ
の神経伝達物質に作用するSNRI(選択的セロトニン-ノルアドレナリン
再取り込み阻害剤)が注目され、第一選択薬となっています。

上記の薬物療法による改善率は70%と報告されていますが、残りの30
%に有効な治療として次の非薬物療法が試みられています。

1.精神療法

うつ病では物事を悲観的に考えたり、何事も完ぺきにしようとする傾向が
あります。それを楽観的な考え方に変え、がんばりすぎないように導きま
す。ストレスがあればそれを」明確にし、無くしていきます。薬物療法との
併用で効果があがることが確かめられています。

2.運動療法

運動が効果的という研究がされていて、運動する群はしない群と比べて
うつ状態が」改善したという結果が出ています。

3.高照度光療法

明るい光を人工的に浴びる治療法です。抗うつ薬の無効例が多い季節
性うつ病の第一選択の治療法です。季節性でないうつ病でも有効性が
報告されています。

4.無痙攣電気痙攣療法

抗うつ剤の効かない難治性うつ病に選ばれ、現在最強という治療法です。
麻酔をかけ、筋弛緩剤を投与し、眠った状態で通電し、けいれんを起さ
せます。欧米での研究では安全で効果的という報告がされ、日本でも取
りくみが始まっています。

うつ病も早期発見、早期治療が大切です。うつ病が疑われるなら、精神
科など専門医の受診をお勧めします。
心が疲れたときには休養をとり、適度な運動などで身体を動かすことも
大切です。うつ病の患者さんは1日のリズムが狂いがちになりますから、
早寝早起き、規則正しい生活を心がけましょう。
                    (参考:くらしの百科 2106)

うつ病とは」「抗うつ剤の特徴」「抗うつ剤の使い方と副作用
うつ病に対する偏見」「抗不安薬の作用」 等も参考になさってください。

11月の「ひとこと」

「こらむ」と「ひとこと」項目別