甲状腺疾患とヨード

無機ヨウ素は甲状腺濾胞細胞内に取り込まれますが、この取り込みはヨウ
素の供給状態によって変化し、欠乏状態では活発に、過剰状態では抑制され、
れ、細胞外液に分布する量の約20%が甲状腺に取り込まれて、残りの約80
%が尿中に排泄されます。通常、甲状腺へのヨウ素の取り込みには飽和が
見られますが、甲状腺機能や細胞外液のヨウ素濃度にも強く影響されます。

ヨウ素は日本では口にする多くの食品中に含まれています。含有量が昆布
が群を抜いて多いですが、この他の海藻、魚、肉、穀類にも含まれていて、
世界一多く摂取しています。この他医薬品(造影剤、ポピヨンヨードなど)、食
品、医薬品添加物の赤色3号、赤色105号もヨウ素化合物です。知らずに摂
取しているものでは和風だしがあります。(昆布からは短時間に90%以上の
ヨウ素が出し汁中に出ます)

バセドウ病ではヨード制限しないと薬が効きにくい、あるいは再発しやすいと
いう説もありますが、日本に暮らしている以上制限は無理で、また制限の程
度も不明とされています。
橋本病の患者さんの中には昆布などヨード過食による機能低下症を起こし
している場合もありますが、制限1ヶ月程度で機能が回復します。日本人の
場合ヨード不足を心配することはなく、ヨード過剰で調節機能が働くようにな
っています。また、治療を始めれば食事療法の期間が短いこともあり、結論
としては、一般的にはあまりヨード摂取に気を使う必要はないとされています。
ただし、妊産婦が健康食品などで昆布を含んだものを多食すると、胎児ある
いは新生児の甲状腺機能を抑えるので危険です。
                  (参考:日本薬剤師会雑誌 第55巻5号)

5月の「ひとこと」

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